●Magic Time

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「お前、いくらなんでも失礼すぎるだろ!」 私の猛攻に半泣きとなったすばるは、静まり返っているコンビニ内で声を荒げた。 同時に店内にいる数人の客が、一斉に私達二人の方を見た。 「……もう、アンタが怒鳴り声とかあげるから、皆、一気にこっちを見てきたじゃん」 私はすばるに肩パンを食らわせると、バスケットを手に取り、弟に頼まれた少年ジャンプをそこに入れる。 「お前が、くだらない事を言うから……」 「さっさと、家に帰りなよ」 これ以上は取り合わない、という感じで私はすばるの言葉を遮ると、書籍コーナーを後にし、本来の目的である飲料コーナーへと向かった。 ビタミンCを売りにした、炭酸飲料があった。 値段、サイズ、共に妥当だ。 それなりに脳を活性化させ、小説を2ページ程更新させるには最適な飲料だろう。 私は少年ジャンプに続いて、小瓶に入った炭酸飲料を一つ、バスケットへと入れた。 その時だ。 コンビニの外から、けたたましい原付バイクの音が聞こえてきた。 「……あっ」 見覚えのあるその顔に、私は声を上げた。 が、素知らぬ振りをして、そのままレジへと向かう。 「渡辺ぇ! お前電話してこいって、俺、ちゃんと言ったよなぁー!」 ろれつの回っていない、ダミ声。 焦点の定まっていない、目。 シンナーかドラッグでも決め込んでいるのか、どう見ても「取り扱い注意」のその男は、書籍コーナーで立ち読みを続けていた渡辺すばるの首根っこを掴むと、そのまますばるを店外へと連れ出していった。 ──あんな奴らと付き合っても、いじめられなくなるとは、とても思えないんだけどねぇ。 小中高、と一貫して「いじめられっ子」であった渡辺すばるが、一念発起して付き合いを始めた「リアル不良」の後ろ姿を見つめた後、私はレジへと視線を戻す。 すると、突然の不良の訪問に、店内にいた客全員が怯んでしまったのか。 これまで、何をするともなく佇んでいた数人の客は、早くコンビニから立ち去りたいのか、一斉にレジへと向かい、最後尾となった私はなかなか商品を精算してもらえず、しばらくの間立ち往生を続ける事となった。
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