1/1
前へ
/25ページ
次へ

 リョーキと別れてタツヤは大学を出て街を歩いた。よく晴れて、冬にしては暖かかった。駅に向かう道の舗道は、色違いの敷石がカラフルだった。傍の車道を流れる車の列は途切れることがない。道沿いに並ぶ、ヨーロッパ風の名前を掲げたカフェ、レストラン。  まるで遊園地の中にいるようだ。タツヤはふと思った。気持ちよく、完成された世界。東京はどこか作り物めいて、息苦しい。この世界の一員となるということは、世界の部品になるということなのか。ジグソーパズルのピースのように、空いたすき間に体をはめこむということなのか。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加