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早朝。 柄にもなく早起きして、俺はまた軽装に着替えて、そそくさと廃屋の自宅を出た。 履いているジョギング用のスニーカーが、足取りをいつもより軽くしてくれる。 俺はそのまま海沿いの道を、軽くジョギングした。 こんなことを、朝早くからやりたくなんかなかったはずだが、何故だか、身体が朝になると動いて、こうやって海沿いの道を走ることになる…。 何を望んでいる? 自問自答してみる。 折り返し地点から戻って、また軽くジョギングする。 本当は、自分でよくわかっている…。 ひょっとしたら、また何処かから、彼女が出てきて、俺と一緒に走ってくれるんじゃないかと… そんなくだらないことを望んでいる。 だから彼女の言いつけを、今でも守っている。 「あれはちゃんとやってください。あれは絶対健康に良いですから。是非続けてください」 彼女は最後も、そう言ってたっけ…。 わかったよ、 これからも続けるよ…。 本当に健康の為かどうか… 本当はただ、また彼女が何処かから現れて、俺と一緒に走ってくれるのを望んでいるだけなのかもしれない…。 「未練がましい野郎だ!」 俺は自分に向かって、そう言い捨ててから、また帰りの道をジョギングして帰った。 もう美紗子がいなくなった、廃屋の自宅に向かって…。 (終)
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