罪人

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罪人

私は罪人だ。本来なら警察に捕まって、薄汚い牢屋に入るべきだ。そして初老で白髪だらけの裁判官に死刑宣告をされ、遺書を独房で書き、笑ってざまあみろとアイツらにいいながら首を締めあげられて死ぬ!!もしくは飯を一切食わずに餓死するか?それとも事故に見せかけて私を殺すか? 私は人を殺した。紛れもない父と母を。 いや、父なんかじゃない。母なんかでもない。 ただの狂った家畜だ。 だから、隔離病棟にいるんだ。 あれは、、、いつだったか 私に名前は無い。というよりあんな名前要らないから捨てた。立派な三階建ての屋敷の中で私はあの女の腹から出た。何を思って出たかは知らない。でも、私の産声は絶望を表していただろう。 生活は地獄そのものだった。 朝から晩まで理解のできない勉強に習い事。食事と入浴、睡眠以外の自由は無かった。 自由が欲しい。何にも縛られたくない。 幼い頃は怖くて逆らえなかった。 逆らえば何をされるか分からない。 表ではいい顔して裏では荒々しく暴力を振るい、私を殺そうとする裁判官の父親。 躾に異常なほど厳しく、機嫌が悪いと私の飯を抜く母親。 大嫌いな奴らだ。思い出すだけで反吐が出る。 勉強を拒めば、可愛がっていた飼い猫を殺された。 文句を言うもんなら、髪を無理やり切られた。 失敗をすれば、死ぬほど腹を殴打された。 テストで100点以外を取れば、縄で縛られ目隠しされ、地下の部屋に放置された。 いつしか私は、奴隷となりかけていた。 目が覚めたのは中学に入ってすぐだ。 やっと、携帯を買って貰えた。 何度も殴打を受けながら懇願し、手に入れたものだ。 私は音楽が大好きで、夜寝る時に聴くのが唯一の楽しみだった。他にも、SNSでこのクソのような毎日の愚痴を書いていた。 その日も音楽を流して眠りにつこうとしたら、とても素敵な歌が流れてきた。 「お前は奴隷じゃない。自分らしく生きろ、自分らしく反抗しろ!」 そういう歌詞だ。私はそれを狂ったようにリピート再生し、ふと思った。 私は人間だ。人間の女の子!!だから、、、 私らしく生きるために邪魔なものは排除しないと!! それが、私の反抗だ、と。 そして気づけばノートを開き、頭を動かしていた。
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