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そして今。大江先輩が、わたしの正面に座ってわたしを見つめている。
こうやって相対していると、どうしても彼のパーツに目が行ってしまう。唇とか、手とか。
この人は、この唇でどんな風に恋人に口づけるのだろうか。この手で、どんな風に触れるのだろう。
大江先輩の手はしなやかに見えて、男らしさも感じられる手だった。手をつなぐ時、この指を絡めるのだろうか。この手で髪や頬や、……胸のふくらみや素肌にも、優しく触れるのか。
ああ、何を考えてるの、わたし。
「……あの、もうじき卒業式なんで……その前に、先輩に言っておきたいことがあって」
「言っておきたいこと、ね」
大江先輩は興味深そうに微笑んだ。
「それは、本当に俺でいいの?」
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