track1

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たまたま川ちゃんと休憩室で話すようになってから気が合いすぐに距離が縮まり、とても仲良くなった。川ちゃんの方から、プライベートで2人の時は敬語をやめようと提案された。彩花は本当に良いのか何回も尋ねた。川田さんも1つ歳上の彩花に敬語を使われるのは窮屈なのだそうだ。 そこから川ちゃんと呼ぶことになった。更に偶然、お互いの家が車で10分程度の所にある事がわかりその日に川ちゃんが彩花の家まで車で来てくれた。頻繁に2人で仕事終わりに車の中で愚痴を言い合って励まし合っていた。 川ちゃん『今日も金木さん、辻井店長にゴマスリスリやったよな。あたしらに対する態度と全然違う』 彩花「わかる、金木さんの性格ヤバいもんな」 川ちゃん『森さんほんまムカつくわ…あたしと同い年のくせに先輩やからって上から目線で腹立つ。マジで髪の毛ひっぱってやりたいわ』 彩花は年下の先輩である森さんからなぜか可愛がられていたので苦笑いしながらまぁまぁとなだめる。 女にとって悪口は楽しくて仕方ない。先輩に面と向かって文句なんて言える世界ではないのだ。 彩花にとってこの時間が癒しになっていた。昔からの友達とはまた違い、同僚と呼べる川ちゃんの存在に感謝していた。 やっぱりこれかなーと川ちゃんがボタンを押すと曲が変わりレペゼン地球の曲が流れる。 川ちゃんはレペゼンのファンなのだ。 いつもの場所でいい?と川ちゃんが聞くので彩花は頷きながら今日もワクワクしていた。 いつもの場所とは彩花の家の近くの打ちっぱなしのゴルフ場がある湖の開放されている駐車場だ。眺めがいい。大阪府内と言っても彩花達の住んでいる所は比較的田舎なので夜になるとほとんど人がいない。近くに田んぼもある。 車を停めて2人でキャーキャー騒ぐにはもってこいの場所なのだ。たまにファミレスにも入るが時給制の2人は節約がしたい。そしてスッピンで人前に出たくない。だから自然と車の中で話すことが2人にとっても1番なのだ。 今日も一通り、仕事の愚痴を言って笑い合った後は、もっぱらレペゼン地球の話題に移る。 川ちゃんはレペゼン地球のファンなのでDVDを持っている。車の中でMVやライブ映像を見ながら2人ではしゃぐのだ。 レペゼン地球という存在を知ったのは川ちゃんの影響だった。 彩花にとってYouTubeはゲームの攻略や好きなお笑い芸人のネタや流行りの曲を聴く程度のもので、YouTuber自体には全く興味が無かった。 2人でカラオケに行ったら川ちゃんがレペゼン地球の曲を歌い、彼らを知った。下ネタだらけでなんて下品な、と思った。でも物凄く中毒性のあるリズムでテンションが上がった。 その夜に自分の家でレペゼンの動画を見て曲を聴いて彩花もレペゼン地球を認識した。
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