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第四話
「さて、着きましたね。直ぐに始めますよ。千里」
「はい。あなた達はここに居てください」
「はっ!」
千里は桜に言われた通り直ぐ現場に行く手配を済ませ周りにいるメディアまで立ち入り禁止にして現場に入ったのである。
「テレビで見るよりも酷い有様ね」
「そうですね」
移動しながら辺りを見回してボロボロな姿に二人はそう言わざるを得なかった。
「この辺りが良さそうね」
大体荒れ地になった真ん中にきて立ち止まる。
桜は目を閉じ一息ついて己の中にある力霊力を目に集める。そうすることで人には視えない世界を視る。また、大地や草、木といった物から過去を視ることも出来る。
「ふっ!」
目に持っていった霊力を発動させる。
「・・・・・・」
千里は静かに見守る。それだけ神経を集中しなければならないのである。
「ふぅ」
「見終わりましたか?」
「ええ」
桜が目を閉じて力が分散していくのを感じ取り千里は声を掛ける。
「どうでしたか?」
「聞いたことのない神がいた。それに須佐之男命も何か様子がおかしかった」
桜は余計に分からなくなったと首を捻った。
「どういうことですか?」
「聞いたことのない神についてだけど名前は八剱神と言っていたわ」
「八剱神ですか?確かに聞いたことのない神様ですね。ですが、確か八剱神社と言うのがあったはずです。そこと何か関係があるかもしれません、調べてみますか?」
「ええ、お願い」
そう言うと二人は移動しながら話し出す。
「須佐之男命様の様子がおかしいというのは?」
「自分の主は誰なのかと八剱神が言ったら邪神様だと答えたのよ」
「邪神様?それは一体・・・「はははは!」!!」
千里が続きを聞こうとすると突然複数人の笑い声が聞こえてきた。
「何の騒ぎ?」
桜と千里は訝しみ向かうと自分たちをここに連れてきた部下たちが笑い踊っていた。
「え?」
「何が?」
二人はこの事態に啞然とした。
「あなた達!!姫の御前ですよ!!何をしているのですか!!!」
千里は声を大にして話すが部下たちは笑い踊り続けるのをやめない。
「あれ、あなた達には何か効いていないみたいだね」
突如二人に元気な声が聞こえてきた。
「誰ですか?」
桜が言うと現れたのは動きやすい服装をした活発そうで髪飾りをした女性であった。
「私は天鈿女(あめのうずめの)命(みこと)だよ!」
その答えに二人は驚いた。アメノウズメとは日本最古の芸能の神である。
「まさか人間界に顕現なさっているのですか?」
桜は聞いた。
「そうだよ。邪神様がね、自分が復活するために「人間の悪意を集めろ」って言うからね!!」
無邪気そうに話すアメノウズメに二人は何か分からないが恐怖を感じた。
「さて、巫女みたいだし私たちに・・・「アメノウズメさん、か」ん?」
アメノウズメの話しを遮り一人の男が森から現れた。
「八剱神」
桜は自分が視た神が現れたことに無意識に神の名前を口にする。
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