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次の日、会社から帰って、ソファーで休んでいる蘭子に
裕二から電話が有った。
「ごめ~ん、昨日は、どうしても仕事、抜けられなくってさ~」
何を言っているんだ、仕事などない癖に
どうせ他の女と、どこかへ行って遊んでいたんだろう。
蘭子は「ああ、もう良いよ、じゃ」と、電話を切ろうとした。
裕二は慌てて「ちょっと、ちょっと、別に今日でも良いじゃ無いか」
と言う「私は、昨日欲しかったの、今日はもう良いよ、疲れてるから」
「おいおい、俺、もうマンションの前まで来てんだぜ」
と言う声と共に、チャイムが鳴る、ああ、面倒臭い奴
蘭子は、マンションの入り口を開けてやった。
元、モデルだったと言うだけ有って、すらりと背が高く、顔だちも良くて
ファッションセンスも抜群だが、中身は軽薄で、定職も無く
姉がやっている、小さな出版会社で、雑用位しか出来ない男だ。
蘭子と会う度に、ちょっと貸して、返す時は、三倍にして返すからと
お金をせびる、勿論、一度も返して貰っていないが
そんな男でも、蘭子には必要だった。
良い寄って来る男達の前に、裕二を連れて行くと、皆、引き下がる。
面倒くさがりの、蘭子の男避けだった。
部屋に入って来ると、すぐ蘭子にキスをする、キスだけは上手だが
自分勝手で、少しも相手の事を考えない裕二は、蘭子を最後の高みにまで
登らせた事は無かった。
ソファーに座って、どうでも良い話をしていると
いきなり部屋のドアが開き、蘭子の兄の遼が入って来た。
驚く二人に、遼は、怖い目を向け、裕二をぐっと睨み、玄関を指差した
出て行けと言っているのは、いくら鈍感な裕二にも分かったが
自分と同じ位、かっこ良い此奴は、誰なのか、でも、俺の方が若い
そう思った時「兄さん」蘭子がそう呼ぶ声を聞いて
裕二は外に飛び出した、蘭子から、とても怖い兄が居ると
聞いていたからだ。
遼は、部屋をロックし、蘭子を抱え上げると
ベットの上に、放り投げる様に、手荒く寝せた。
ボタンが飛んでしまう位、激しく蘭子の服をはぎ取る。
何も言わなくても、男と一緒の所を見て、酷く怒っているのが分かる。
兄が、自分の部屋のキーを持っていたなんて、そこまで考えていなかった
しかし、この部屋を買ってくれたのは兄だ。
持っていても不思議では無い、油断したわと、唇を噛む。
部屋を暗くした中で、寮の手が蘭子の体中に火をつける。
襲ってくる喜びに、抵抗しようとしても、無駄だった。
蘭子の身体を良く知る遼の手のままに、燃えに燃える。
抱きしめたくなる、でも、それだけはするもんかと
両手で、シーツを握りしめて耐える。
もう駄目だ、深く貫かれたまま、喜びの壺を揺すり続けられると
大きな嫌悪感を乗り越えて、喜びが、何度も爆発する。
ぐったりしている蘭子の耳元で、遼は
「俺が買ってやった部屋に、俺以外の男を入れるな」
蘭子の部屋に来てから、初めての言葉を、強い口調で言った。
蘭子は、返事もしない、獣みたいな事をさせる癖に
なによ、部屋の一つや二つ、心の中で、そう言った。
結婚したから、もう私の所には来ないだろうと、思っていたのに
これじゃ、何も変わらない、遼は、する事が終わると
さっさと帰って行く、いつもの事だ。
馬鹿っ、もう二度と来るなと、思う間もなく蘭子は、深い眠りに落ちた。
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