傭兵エドワード

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 エドワードも所属する傭兵組合は、このファーガス王国城下町を本拠地とし、国内の主要都市に支部を持つ大きな組織だ。特定の雇い主を持たないフリーランスの傭兵たちは大抵この組織に所属し、仕事を受けている。その能力はピンからキリまで様々だが、傭兵組合の基本理念は「傭兵の確実な稼ぎをサポートすること」であり、皆で助け合って活動している。 その中でも屈指の実力を持つ五人がいる。「五本指」と呼ばれる彼らは、それぞれ別の支部を拠点に活動する。 傭兵組合にやってくる以来の殆どは街の人々からのものだが、今回の件のように、王国騎士団からの大きな仕事が来ることもある。その場合、危険度の高い仕事は「五本指」の誰かに回される、というわけだ。 そして、ファーガス城下町本部を拠点とする五本指の一人は、このエドワードだった。 「エディ、行ってもらえますか!」  その言葉に二つ返事で頷けないのは、彼にとって気がかりな点が多くあったからだ。 「カーシー、イザベラ神の祠付近は魔力濃度が高く、そこらの魔物では近付くことすらできないはずだ。そこに大型の魔物というのは一体どういう事態なんだ?自然発生とは考えにくいだろう?」  カーシーは投げかけられた疑問に、ふむ、と頷いて、少し考えこむ。 「あくまで僕の推測ですが……」  エドワードの了承を得るように、上目遣いに見つめる。彼が小さく首肯したのを見て、カーシーは淡々と告げた。 「考えられるのは、その高い魔力濃度に影響されたごく普通の魔物が突然変異を起こした可能性です。国境の山から下りてくる魔物たちにも時々いますよね。ただでさえこの国には魔物が多いですから、そういった可能性は十分にありえるでしょう。あるいは……」  カーシーの聡明な色をした瞳が細められる。街の喧騒から離れたように、彼の声は凛と、真っ直ぐにエドワードの耳に届いた。  しばしの沈黙を置いて、言葉を繋げる。 「あるいは、イザベラ神の身に何かあったか。彼女は神という立場であるといえ、神としての権能を持ちえないアンドロイドにすぎません。僕も実際にお目にかかったわけではないので断定はできませんが、彼女はきっとエディほどの戦闘能力は持ち合わせていないでしょう」 「そのどちらも、という可能性は」  表情一つ崩さないエドワードに、カーシーは至って軽やかに笑いかける。 「否定できません」  その言葉に、エドワードはニヤリと口もとを緩ませた。 「面白い」
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