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轟々と渦巻く爆風が、やがてゆっくりと引いていく。
結界でギリギリ持ちこたえたエドワードは、大きく息を吐いた。
__なんとか深手を負わずに済んだ……
彼は外傷こそ浅いものの、結界に大きく魔力を裂いたため、その見た目以上に疲弊していた。まさか、刀を抜く前にここまで消耗するとは。挙句、討伐対象の巨人は自分が手を下す前に爆発して塵一つ残っていない。
一体今のはなんだったんだ、と顔を上げ周囲を見渡す。森林は先程の爆発で荒れ放題。木々はなぎ倒され、太陽の光が先ほどまでとは比べ物にならないほどしっかりと辺りを照らしている。
ずいぶんと派手な爆発だったな……と考えていると、目の前の木がひとりでに起き上がった。
「は?」
メキメキ、ミシミシ、と音を立てながら大きな木が元あった場所に戻っていく。呆気に取られているうちに、一帯の木々が全て元通りになっていった。太陽の光は再び微弱になる。
「なんだ、これ……」
眉をひそめながら目の前の木をじっと見つめるエドワード。その木の幹には傷ひとつついていない。
そんな彼の傷ついた頬を、先ほどまでよりずっと爽やかで軽やかな風が通り抜けて、流れていた血を一瞬にして癒した。それに驚いていると、不意を突くように背後から女の声が響いた。
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