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「何度も言わせるな。ここに魔力の反応があった事は確かなんだ」
「いい加減な事を言うのはやめて貰えませんか?私もこの子も魔力はありません。それに現代の科学力では魔力の反応を調べられる機器は作れないはずですが?」
団員に囲まれながらも強気を貫くココさん。
ミーナさんは、ココさんの背中にしがみついて少し震えていた。
「根拠のない言いがかりはやめて貰いたいですね。それに最近起こっている誘拐事件はあなた達の事でしょう?これ以上言いがかりを続けるなら警察に…」
「言わせておけば…!」
団員の1人が飛び出しココさんに拳を振りかざした。
でも、その時「待て!」という声と共にお店の扉が勢いよく開き、クロノ…つまり僕が飛び込んできた。
ただし、お店の旗を握りしめて…。
突然の出来事に団員達は、一斉に視線を向けた。
「ク、クロノ…君…」
ミーナさんは、聞こえないような小さな声で僕の名前を呼ぶ。
怪我はしていないみたい。
なんとか間に合った…。
「何だお前は?よそ者なら出て行け。知らない方が身の為だぞ」
フェイトの団員の1人が僕に『出て行け』と言葉を投げかける。
知らない方が身の為?
悪いけど、僕はお前達の事をよく知っているよ。嫌になる位に…。
「…魔力を持つ人を拐っては、人体実験を繰り返し、そして何人も犠牲を出している組織『FATE(フェイト)』だよね」
「…!」
僕の言葉に驚き、一斉に銃を構える。
そんなFATE(フェイト)なんて関係なしに僕は淡々と口を開く。
「FATE(フェイト)の目的は『時間と並行世界の支配』。奪った魔力は『時空転移装置』の実験や今構えている武器にも使っているよね?」
「お前…どうしてそこまで知っている!?」
僕は「ちょっと…ね」と挑発する様にあえて強気に出る。
案の定、挑発に乗った団員の1人が僕に向かって銃を撃った。
銃からは、実弾ではなく、火の球が発射された。
僕は、左手を前へ出すと、火の球をなぎ払うように動かした。
火の球は僕の左手に触れると弾けるように消えてしまった。
「何だと!?」
「(あの時と同じだ…。ミーちゃんの魔法をかき消したように今回も…)」
今がチャンスだ。
僕は、驚いている団員へと飛び出すと、右手で持っていたお店の旗を剣のように振りかざし、頭に強打を与えた。
強打を食らった団員は、フラフラしながらバタッと倒れた。
…ちょっとやり過ぎた?
「い、一斉にかかれ!!」
1人の指示で僕を取り囲み、前と後ろから2人が飛び出してくる。
銃は効かないと判断したみたいで、手には金属製の棒を握っていた。
でも、僕だって簡単にはやられないよ。
僕は、真上に飛び上がって攻撃をかわすと、天井を蹴り、飛び込んできた2人の真横に着地した。
そして、次々に肩や背中に強打を与え、気絶させた。
「くっ…!」
「どうするの?あとはあなただけみたいですけど」
「ち、調子に乗るな…!」
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