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再び銃を放つ団員…。
僕は再び左手を前に出して銃から放たれた炎の球を左手で受け止めた。
炎の球は、今まで同様に左手に触れると弾けて消えてしまった。
「何故だ…!何故、魔法銃が効かない…!?」
1人になった団員は、冷静さを失って銃を連射する。
でも、その球でさえも僕には効かない。
だってこれが僕の能力なんだから。
「お姉ちゃん…これってどういう事なの…?」
「恐らくだけど、クロノ君には魔法の類いを無効にする力があるのかも…。私も信じられないけど…」
遂に魔法銃から球が出なくなった。
恐らく銃に充填してあった魔力が底をついたんだ。
「く、くそっ…!化け物か…!」
団員は、逃げようとお店の出入りへと走り出す。
でも、外へ飛び出した瞬間、待ち構えていた複数の警官によってその場に押さえつけられた。
「FATE(フェイト)、今回はどうあがいても言い逃れは出来ない。知ってる事を全部話して貰おうか!」
その後、町で暴れ回っていたFATE(フェイト)の団員達も僕が丘で縛り上げた団員達も1人残らず警察官に連れて行かれた。
幸いにも、今回の騒ぎの中で連れ去られた住民はいなかったみたい。
家が壊されたり、軽傷を負った人は沢山いるみたいだけど…。
そして、僕はというと…
「はい、どうぞ」
テーブル席に座る僕に紅茶を差し出すココさん。
ここは、カフェ…ではなく、お店の2階にある一室…。
ココさんやミーナさん達が生活している部屋の一つだ。
「あ、ありがとうございます」
僕はモジモジしながら頭を下げた。
「今度は魔法はかかってないから安心してね」
ちょっと不安そうにしていたのが分かったのかな…。
ココさんは苦笑いしながら僕と向き合うように椅子に座った。
そして、ココさんの横にはミーナさんが座った。
僕は紅茶を飲もうと手を伸ばしたけど、部屋の扉が開いたので手が止まった。
中に入ってきたのは、黒と灰色の体毛が特徴的な猫の姿をした人だった。
「初めまして、あなたがクロノ君ね?私はレナ。ココの母です」
レナさんが挨拶すると、僕は慌てて椅子から立ち上がり、頭を下げた。
そんな僕の姿に3人は、思わずクスッと笑ってしまっていた。
…何だか恥ずかしい。
レナさんは、再び僕を椅子座らせると、僕の横の椅子へ並んで座った。
「それじゃあ、早速で悪いんだけど…。あなたの事や知っている事を話してもらえるかな?」
レナさんがそう言うと、僕はコクッと頷き、自分の分かっている事を全て話し始めた…。
神様の悪戯か、それとも時の悪戯か…。
まるで、夢のような不思議な物語が始まろうとしていた…。
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