第3話 青い満月の夜に

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シーカーは、主な活動は夜に行ってるみたいで、FATE(フェイト)に囚われた人達の救出活動、情報収集をしている。 「もしかして、僕を捕まえようとしたのって…実力を知りたかったからとか…?」 「そう!あなたの力がどんなものかなってね。でもまさか扉の魔法まで解かれるとは思ってなかったけど」 僕が捕まった時、扉に魔法をかけたのはココさんではなく、レナさんだった。 だからあの時、違和感を感じたのか。 レナさんの魔法は、シーカーの中では間違いなくトップで今までどんな魔法も破られた事がないんだって。 「クロノ君、これはお願いなんだけど、私たちに協力してくれないかな?」 レナさんは、僕に仲間になってほしいと頭を下げる。 そして「勿論、無理にとは言わないけど…」と付け足した。 僕は、今まで長い間FATE(フェイト)に囚われていた。 だから不安や恐怖もあるだろうと思い、レナさんは強制はしなかった。 でも僕はすぐに「はい。お願いします!」と返事をした。 怖くない、というのは正直嘘になる。 でも、僕はやらなくちゃいけない事があるんだ。 だから僕は、レナさん達に協力したい…。 「いいのね…?辛い思いをするかもしれないよ?」 レナさんは、僕に再度確認する。 僕はコクッと首を縦に振る。 何度聞かれても返事は変わらないと思う。 僕はもう覚悟を決めていた。 「実は、母親が行方不明なんです…。8年前の時空トンネル事故の時に…」 僕の発言に驚いて固まってしまう3人…。 実は、僕のお母さんは時空トンネルの開発責任者だった。 お母さんが行っていたのは、魔力を吸い出して使うタイプの実験ではなく、自然エネルギーを利用するタイプの装置だった。 でも、ある時に魔力を吸い出して行う実験が無断で行われてシステムが暴走…。 それを止めようと装置へ飛び込んで行ったと言われるその日から、僕はお母さんに会っていない…。 しかも、この事実はFATE(フェイト)に囚われてから研究者達の噂を盗み聞きして初めて知った。 そう、大きな事故だったはずなのにFATE(フェイト)が揉み消していたんだ。 だから外部に事故の情報が漏れる事がなく、知られることがなかった。 「だから僕、母の手がかりが欲しいんです。あの、この世界の母は…?」 「この世界のあなたのお母さんは、亡くなったと聞いているわ…あなたの世界で行方不明になったのと同じ8年前にね」 僕は「そうですか…」と力なく答えた。 でも、僕の気持ちは変わらない。 もしかしたら自分のように次元を越えて来ているかもしれない…。 どんな結果になっても構わない。 僅かな希望を胸に再びレナさんに頭を下げた。 「…分かったわ。私たちも情報を集めてみましょう。それじゃあ、改めてよろしくね、クロノ君」 レナさんは、僕の頭を優しく撫でてくれた。 突然の事に照れてしまい、体をモジモジさせて尻尾がゆらゆら揺れた。 頭を撫でられるとやっぱり恥ずかしい…。 「あ…そう言えば、クロノ君にはどうして魔法が効かないの?聞きたい事があり過ぎて忘れる所だったけど…」 ココさんが僕の能力について質問してきた。 確かにこの力は他に見た事ないし、珍しいのかな。 「あっ、それは…」
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