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「その、レオン君の事とかミーちゃんの事とか、色々教えてくれないかな…?僕の居た世界とは違いすぎてて、知らない事が沢山あるみたいだから…」
「そっか…。分かった、教えてあげる!」
ミーナちゃんは自分の事とレオン君との思い出を話し始めた。
小さい頃、レオン君はミーナちゃんと2人で毎日のように一緒にいたようだ。
ココさんも一緒に遊ぶ事も多かったみたいだけど、特にミーナちゃんと一緒にいる事が多く、仲の良さは町中で評判だったらしい。
そして、その話の中でレナさんやココさんとは血が繋がらない家族である事も分かった。
ミーナちゃんは元々は別の町の出身だった。
母親は、体が弱くミーナちゃんが物心つく前に病気で亡くなっているらしい。
そして、父親はミーナちゃんに魔力が宿っている事が分かると、レナさんにミーナちゃんを預けて何処かへ行ってしまったとか…。
母親が亡くなったいる事はミーナちゃんを預ける時に父親が全てを話してくれたんだって。
「お父さん、きっと周りから非難されて疲れちゃってたんじゃないかな。魔法に知識のあるレナさんに助けてもらったからよかったけど…」
「そうだったんだ…ごめんね。辛い事を聞いちゃって…」
僕は、話が思わぬ方向へ向かってしまい、慌てて謝る。
でも、ミーナちゃんは「えへへ…!大丈夫だよ」とニコッと微笑んでくれた。
明るいミーナちゃんにもこんな過去があったなんて…。
強いなぁ、ミーナちゃんは…。
その頃、レナさんとココさんは隣の部屋で僕の為の部屋を整理整頓してくれていた。
「ねぇ、お母さん。クロノ君を引き止めたのってクロノ君を監視したいから…?」
「監視…というよりはこのままこの町を離れさせるわけにはいかなかったって所よ。もし、あの子を行かせてしまったらどうなると思う?」
お母さんの質問に私は言葉が詰まる。
「私達が止められなければあの子は単身でフェイトに乗り込んだと思うわ。きっと自らの命を犠牲にして…ね」
「お母さん…」
「レオン君…いや、クロノ君ならきっと分かってくれるハズ。誰も犠牲にならない選択もあるハズだってね」
心配そうな表情を浮かべる私にニッコリと微笑むお母さん。
やっぱりお母さんはすごいなぁ…。
親になるってこういう事なのかな…。
それを見た私は「うん」と答えると少しだけ表情が明るくなった。
そして、その夜…。
夕飯を食べ終わり、全員がリビングでのんびりと寛いでいた。
僕は、時計を見ると窓際へ向かい、カーテンを少し巡って外を確認した。
時刻は、夜の8時を過ぎた所で外は月の光で青白く照らされていた。
「そろそろいいかな…?」
そう呟くとミーナちゃん達を集めた。
「それじゃ、僕がどうして魔法を無力化出来るのかをお話します」
そう言うと、左腕に巻かれた包帯を解く。
すると、真っ白な体毛に包まれた腕が姿を現した。
左腕だけが白く、その他の体は黒と灰色の体毛…。
どう見ても不自然な状態だけど、これには訳がある。
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