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第4話 パラレルワールド
「う…んー…!」
僕は、カーテンの隙間から差し込んできた朝日で目を覚ました。
体を起こし、カーテンを開けると両手を上げて伸びをする。
時計を見るとまだ6時前…。
どうやらかなり早起きしたみたいだ。
ところで、元に戻ってる…よね?
昨夜の満月でセアラさんの体になったため、自分の体にちゃんと戻ったかを確認する。
…うん、元に戻ってるみたい。
ちゃんと元に戻った事が確認できると部屋を出ようと扉へ向かう。
…でも、テーブルの上にセアラさんからの手紙がある事に気がついたため、テーブルへ戻った。
手紙を取り、一通り目を通す。
セアラさんの字、凄く綺麗だな…。
こういうのを達筆って言うんだろうか。
セアラさんの手紙には、レナさんに自分の全てを話した事やココさんとミーナちゃんの2人と楽しくお話をした事が書かれていた。
「セアラさん楽しかったみたいだね」
僕は、手紙からセアラさんが楽しめた事を感じ取り、クスッと微笑んだ。
手紙を置き、赤いバンダナを頭に着けるとリビングへと向かう。
まだ早いというのにリビングからは、美味しそうな匂いがしている。
ゆっくりとドアを開けて中に入ると、レナさんが朝食の準備をしていた。
「あら?おはよう、クロノ君。早起きね〜」
「おはようございます!えっと…何かお手伝い出来る事があれば…」
「いいのよ、座ってて。まだ当分起きてこない子がいるからゆっくり支度しないと…」
レナさんは、苦笑いしながら僕にソファーで座って待つように言った。
「クロノ君、今日はシーカーの本部へ案内したいから、もし出かける時とかは声をかけてね」
「あ、はい!分かりました」
シーカーは、主にFATE(フェイト)が絡んでいる事件を調べたり、救助要請がくれば出勤する『救助隊』のような組織。
フェイトと戦う事を決めた僕自身もメンバーに入る事を希望している。
「シーカーの本部ってどこにあるんですか?」
座って待つように言われたけど、それじゃ何だか悪いような気がする。
僕は、レナさんの隣で食器を用意しながら質問した。
「ローア城よ。この国『ローア』の王様と王女様が居るお城ね」
「ローア城…?」
『ローア城』と聞いて首を傾げる。
僕の反応にレナさんは、「もしかしてクロノ君の世界にはこの町にお城はなかった?」と聞き返してきた。
うーん… FATE(フェイト)に捕まってからは外の情報が殆ど入って来なかったから、風の噂でしか聞いた事がないけど…。
「確か…僕がFATE(フェイト)に捕まってすぐに国自体が別の国に取り込まれたと聞いた事があります。なので僕の世界のシエル島は、別の国の領地になっていたかと…」
「…こんなにも違うのね。クロノ君の世界とは…」
レナさんは、自分たちの世界と僕の世界との違いに改めて驚く…。
それは僕も同じ。まさかこんなにも違うなんて…。
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