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「本当に見ていて不思議な子じゃ…」
バレルさんは、そう呟くとレオン君のお墓の方へ向き直り、再び手を合わせた。
丘を下った僕はレナさん達と合流して、お城へと向かって歩き出した。
「遅くなってごめんねー…。ミーちゃんが中々起きなくて…結構待ったでしょ?」
ココさんがそう言うとミーナちゃんは顔を赤くして顔を隠す。
それを見た僕は、「あはは…そんな事ないですよ」と苦笑いをする。
実際、引ったくり事件に遭遇したり、バレルさんとお話もしていたしね。
僕は、町で起きた引ったくりに巻き込まれてしまった事を伝えた。
「なるほど、町中に警官が多かったのは引ったくりがあったからなのね」
レナさんは、腕を組んで町中の様子を思い出しながら歩く。
「昨日のフェイトの騒ぎに便乗する形で突発的にやったんだと思います。逃走する時も特に計画性があるようには感じませんでしたし…」
僕が引ったくり犯の事を話しながら歩いていると急にレナさんの足が止まった。
急に立ち止まってしまったレナさんに「えっ?ど、どうかしましたか?」と戸惑いながら声をかける。
「あ…ごめんなさいね!そうだよね、よく考えてみたらクロノ君はミーちゃんと同い年だものね」
レナさんの言いたいことがよく分からなくて首を傾げる…。
すると、「あっ…もしかして…」とミーナちゃんが呟いた。
「クロノ君が私よりずっと小さいから年下に見えたって事?」
ミーナちゃんの言葉にレナさんは苦笑いしながら「大正解」と答え、再び歩き始めた。
僕は実際は12才だけど、見た目が小学生低学年ほどに見えるからか、僕の観察力が特に異常に見えてしまったようだ。
…多分同い年で考えても異常なんだろうけど。
「でも、それって小さい子のフリして誤魔化せれば凄い武器になるって事だよね」
ココさんがニコッと微笑む。
そ、そんなに上手く行くかな…。
僕は、戸惑いながら苦笑いをする。
そんな話をしていると、僕達はお城へ着いた。
「レナ様、お帰りなさいませ」
門番がレナさんの前で片膝をつき、深々と頭を下げた。
レナさん、随分と丁寧に対応されるな…。
やっぱりシーカーの上官だからかな。
その光景に僕はちょっとした違和感を覚えた。
「本日はシーカーの本部へ来ました。ですが、その前にヴァン王とルナ王妃にお会いしてお話したい事があるとお伝え下さい」
「分かりました。ただ今他の者を向わせるので、申し訳ありませんがここでお待ち下さい」
そう言うと、門番の後ろに駆けつけた別の兵を王の元へと向かわせた。
兵が戻って来たのはそれから5分程が経った後…。
僕達は、すぐに王様の元へと通された。
ヴァン王にルナ王妃…。
どんな方なんだろう、なんだか緊張してきた。
僕は、緊張して落ち着かない様子で案内された部屋へと入る。
すると、部屋に入った途端に僕は「えっ…?」と凍りついように固まってしまう…。
「なるほど、君が新入り君かな?」
「ふふふ…可愛らしいお客様ですね」
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