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中にいたのは国王の『ヴァン』と王妃の『ルナ』
ヴァン王は、黄色と茶色のいわゆる茶トラ猫の姿をした獣人でルナ王妃は真っ白な毛並みの猫の姿をしている獣人だった。
そして、どうして僕が驚いているのかというと、ルナ王妃の姿がレナさんと瓜二つだったからだ。
「あ、あの…これって…?」
「驚かせちゃってごめんなさいね。実は私、ルナとは双子の姉妹なの」
レナさんが口元を隠しながら意地悪する様にクスクスと笑う…。
一方のルナ様は「もう、お姉様ったら…」と苦笑いをしていた。
レナさんのちょっとしたイタズラだったみたいだけど…ちょっとタチが悪いな。
バレルさんがレナさんの事を『レナ様』と呼んだり、門番がレナさんに対して手厚い対応をしていたのはこういう事だったのか。
思いもよらないイタズラによって、変な緊張も解れ、なんだかほっとした表情を浮かべる。
そんな僕の様子を見たレナさんは「それでは、ヴァン様。改めてお話がございます」と話を進め始めた。
レナさんは、ヴァン王とルナ王妃に僕の事について説明をしていく。
何か説明が足りない時は僕が補足する様に付け足していった。
「そうか、つまり君はもう一つの世界『アナザーワールド』から…」
「それにFATE(フェイト)の実験がここまで進んで来ていたなんて…。魔法を許可しているこの国が狙われなければいいのですが…」
その時、ルナ王妃の口から飛び出した『魔法を許可している国』に僕はピクッと反応した。
「あ、あの…今魔法を許可しているって…」
「はい。この国では魔法の使用は禁止されていませんよ?最も今はFATE(フェイト)のせいで魔力を隠しながら生活をしている国民が殆どですが…」
これが僕のいた『アナザーワールド』との決定的に違っている所だった。
アナザーでは、魔力を持っている事がバレてしまうと『FATE(フェイト)から逃れる為』に魔力を持たない人々が国へ通報。最終的には国から罪人に認定されてしまい『魔力を持たない人々の身代わり』という形でFATE(フェイト)へ引き渡されて実験体にされてしまう…。
一方、レナさん達の世界…いわゆる『ホームワールド』では魔力を持つ者と持たない者の隔たりは殆ど無くなっていて、FATE(フェイト)の動きが活発になる前までは魔力を隠さずに生活していたんだって。
FATE(フェイト)が活発になった今では、見慣れない人の前では、魔力を徹底的に隠し、FATE(フェイト)に悟られないようにしているらしい。
僕がミーナちゃんとココさんの魔力を見抜いた時、2人が過敏に反応したのはFATE(フェイト)のスパイの可能性を心配したからだった。
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