第5話 虹と月の魔力

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第5話 虹と月の魔力

「クロノ君、これからシーカーの本部へ案内しよう」 ヴァン王は、自ら先頭に立って、僕達を案内するために廊下へと出た。 「ねぇミーちゃん、セシルさんって一体…?」 僕は、セシルさんの事が気になってミーナちゃんについ質問をしてしまう。 「セシルさんはね、剣の達人で元々はシーカーに居たんだけど、今は世界中を旅して回っている人なんだ。最近は世界中でFATE(フェイト)がどんな活動をしているのかを報告してくれてるの」 セシルさんは、どうやらシーカーのメンバーやヴァン王から絶大な信頼を得ているみたい。 そんな事を話していると、ヴァン王はとある部屋の扉を開けて中に入って行った。 僕達もヴァン王に続いて部屋の中へと入る。 部屋の中では、すでにある一角を取り囲むように人集りが出来ていた。 「うわぁ…いつもの事ながら凄い人気…」 ココさんは人集りを見ながら思わず苦笑いをする。 「みんな、悪いんだけどちょっと空けて!ヴァン様とルナ様がお見栄ですよ」 レナさんの言葉に次々と人が散っていく。 レナさんもすごいな…。 そして、人集りの中にいた黒い体毛の狼の獣人が姿を現した。 「ヴァン様、ルナ様、お久しぶりです」 セシルさんは、ヴァン王の前で片膝をつき、深々と頭を下げた。 「今回は随分と早く帰って来たようだが、何かあったのか?」 いつもより早い間隔での来訪に表情を曇らせるヴァン王。 セシルさんは「えぇ…それはまた後ほど」と周りに目を配りながら答えた。 あれがセシルさん…。 剣の達人だって聞いたけど、凄く優しそう。 ぼーっとしながらセシルさんを見つめていると、それに気がついたのか「おや?」と僕に近寄ってきた。 「ようやく会えたね。ここに来れば会えると思ってたよ」 僕は、訳がわからず首を傾げる。 「あははっ!すまないね。実は、朝の引ったくり事件で君を見かけてね。悲鳴を聞いて駆けつけた時には既に君が解決していたという訳さ」 セシルさんは引ったくりの被害に遭った店員さんに話しかけた人物だった。 そして、レナさんの所でお世話になっているという情報からシーカーの本部のあるローア城を訪ねて来たみたい。 セシルさんは、腰を落として僕と目を合わせると頬を右手で撫でた。 「不思議だね…君を見ているとレオン君を思い出すよ」 「え、えっとー…」
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