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「し、試合終了!クロノ君の勝ち!」
ココさんが試合を止めると僕は「ふぅ…」と安堵の表情を浮かべた。
「やはり凄いな、あの子は…」
セシルさんが驚いた様子で僕を見ている。
…と思ったら試合を見ていた全員が僕を見ていた。
「クロノ君、ちょっとこっちへ来てくれる?」
レナさんに呼ばれて舞台を降りる。
舞台を降り、レナさんについて行くと、何やら古そうな機械を手渡された。
「試合が終わってすぐで申し訳ないんだけど、それを腕につけてもらえるかな?」
レナさんに言われた通りに機械を右腕に取り付ける。
何をするための装置だろう…。
ついこの前までFATE(フェイト)に捕らえられて、色んな装置を付けられていたからちょっと不安になる。
それを察したのか、ココさんとミーナちゃんが寄り添ってくれた。
「それは魔力の種類を調べる装置だよ!モニターに魔力の種類を表す色が写し出されるんだ。昔からこの機械で魔力を判別してるんだって」
そんな物があるんだ。
そういえば、古代の技術力って現代だと再現出来ないって聞いた事はあるけど…。
装置が古いって事は、現代科学では魔力を判別する事は出来ないって事だよね。
古代の技術力ってすごいなぁ…。
「クロノ君の魔力が出ました。しかし、これは…」
シーカーの隊員さんが装置の先に付けられているモニターを覗き込んでいるけど、何か様子がおかしい。
呼ばれたレナさんも慌ててモニターを覗き込んでいるけど、どうしたんだろう。
「あの、どうかしたんですか?」
思わず僕は自ら質問をしてしまう。
「クロノ君、元々魔法は使えなかったって言ってたよね?」
「え?あ、はい」
レナさんからの突然の質問にキョトンとしながら答える。
僕は、腕から装置を外すとミーナちゃんとココさんと一緒にレナさんの隣へ移動する。
丘の上でFATE(フェイト)の団員と戦った時に電撃魔法が使えたから、きっと電気属性の魔力だろう…とそう思いながらモニターを覗き込んだ。
でも、そこに写し出されていたのは電気属性を表す黄色ではなかった。
赤や青、黄色や緑など…。色が次々と変化しながら写り出されていた。
正直な所、僕は元々魔法が使えなかった事もあって、魔法に関しては何も分からない。
だからモニターに写し出されている色が何を表しているのか全く分からなかった。
「これって虹色の魔力じゃ…」
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