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「驚かせちゃってごめんなさいね。でも、とても不安そうな表情をしていたものですから…」
どうやらルナ王妃は、僕が浮かない表情をしていたのを心配してこっそり来てくれたみたい。
レナさんもそうだけど、ルナ王妃もとても優しい…イタズラ好きそうな所はちょっと困るけど。
「やはり不安ですか?」
ルナ王妃は、しゃがみ込むと僕の顔を覗き込んできた。
不安が全くないと言えば嘘になるけど、不安というよりも自分が魔法について知らな過ぎる事への後悔の方が強かった。
「…いえ、その、過去にあんな事があったって考えると…胸が苦しくて」
「優しいですね、クロノ君は」
ルナ王妃は、そう言うと優しく微笑んだ。
しばらくルナ王妃と並んで座っていると、セシルさんが小走りにやってきた。
「いたいた!探したよ、クロノ君」
どうやら僕を探してたみたい。
一体何の用事なのかな?
話を聞くために立ち上がると、「ちょっと動かないでね」と言いながら僕の腰の辺りにベルトの様な物を取り付けた。
「あの、これは?」
僕に付けられたベルトは背中に何かを刺せる様な窪みがあり、お腹周りには小物が入れられそうなポーチが2つほど付いていた。
「うん、似合ってるね!後はこれを…」
質問している僕をよそにセシルさんは、『別の何か』を僕に差し出した。
セシルさんが差し出した物は、何やら不思議な物だった。
一言で言ってしまえば、それは『刀身のない剣』
他の特徴は、赤色の剣の持ち手に、歯車の形をした窪みが付いていると言う事だけ…。
「これは『ギアブレード』っていう剣だよ。ギアと呼ばれる歯車形の魔法石をはめる事によってエネルギー刃を展開出来るんだ」
これが剣…?
しかも魔法石でエネルギー刃を展開するなんてちょっとカッコいいかも…!
僕は、セシルさんからギアブレードを受け取ると更に説明を受けた。
ギアブレードは、昔は武器として使われていたんだけど、今は人を斬れないように安全装置が付けられ、『競技物』として親しまれている。
そして、魔力を持つ人は、魔法石の代わりに歯車形のダミーをはめる事によって自分の魔力で刀身を作る事が出来るんだって!
「じゃあ、まず展開させてみようか」
セシルの言われた通りにギアブレードを右手で握り、窪みにダミーをはめる。
すると、持ち手の一部が斜めに割れると黄色のエネルギー刃が飛び出した。
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