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「やはり、レオン君が黄色の魔力だったのもあって黄色のエネルギー刃が出るようだね」
すると、セシルさんも腰の横に付けていたギアブレードを取り出して展開させた。
セシルさんの刃は緑色…という事は、緑色の魔力って事か。
そして、セシルさんがギアブレードを取り出した際に、腰につけたベルトがギアブレードをしまっておける物だということも分かった。
…ってちょっと待って。
セシルさん、どうしてギアブレードを出したんだろ…。
いや、もう何となく分かるけど、もしかして…。
「僕と一試合してくれないか?」
…やっぱり。
どうしよう、ルナ王妃はニコニコしながら僕を見つめ続けてるし…。
やるしかないか。
「わ、分かりました」
僕とセシルさんは、中庭の中央付近へと移動して向き合う。
お互い3メートル程離れているだろうか。
それでもセシルさんから独特の空気が流れてくる。
「クロノ君、さっきの試合の様な手加減は要らない。今の君の力を見せてくれ」
うっ…さっきの試合でちょっと手を抜いていたのがバレてる…。
でも、セシルさんの言う通りかもしれない。
手加減なんてすれば、あっという間にやられてしまう気がする。
それだけセシルさんからの圧力が凄い。
「行きます!」
僕は勢いよくセシルさんに向かって飛び出した。
まずは横斬りだ。
右足から踏み込んで、左から右へ剣を振る。
対するセシルさんは、剣を縦に構えて僕の攻撃を防ぐ。
そして、そのままグッと僕を押し返してきた。
やっぱり強い…!
押し返されて宙に浮いてしまったけど、バック宙の要領で体をクルッと回転させて体制を立て直す。
でも、着地した時、セシルさんが視界から消えていた。
「こっちだよ?」
後ろから頭をコツンと叩かれる。
頭を押さえながら振り返ると、苦笑いをするセシルさんの姿があった。
でも、どうやって一瞬で後ろへ回ったんだろう?
僕の反応だってそんなに遅かった訳じゃないのに…。
「今のは魔力を体中に回して身体能力を一時的に上げたんだ。名前は特にないから、僕は『攻めの型』って勝手に呼んでるんだけど」
そんな事も出来るんだ…。
魔法って単純に術を唱えるだけだと思ってたから、ギアブレードや剣術にも応用されてるなんて思ってもみなかった。
「さぁ、クロノ君もやってみて!君なら出来るハズだから」
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