第5話 虹と月の魔力

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いきなり『やって』と言われて出来るものじゃないと思うんだけど…。 でも、使える様になればこれからの戦いの役に立つハズだし、やってみよう! とりあえず、全身に魔力が流れるのをイメージして… 僕は、一度目を閉じて意識を魔法へと集中する。 すると、全身がほんのり暖かく感じ始めた。 ゆっくり目を開けると、体を縁取る様に黄色いオーラの様な物が出来ていた。 「思った通り、クロノ君は魔力のコントロールに長けているようだ」 そう言うとセシルさんは、ニコッと笑った。 そして、再び剣を構え、『かかって来なさい』と手で合図を出した。 セシルさんの体の周りにも緑色のオーラがほんのりと現れた。 よし…!行こう! 僕は再びセシルさんへと飛び出す。 でも、さっきとは感覚がまるで違う。 片足で踏み込んだだけなのに、一瞬でセシルさんの目の前へと辿り着いてしまった。 僕は、左下から右上に向かって剣を振り上げる。 狙いは、セシルさんの剣だ。 振り上げる攻撃によって剣を上へと弾き、セシルさんの体勢を崩そうというのが僕の作戦だった。 バチーン!と大きな音が響き渡る。 しかし、僕の作戦は失敗だった。 セシルさんは、一瞬で飛び上がり、僕の剣を押さえつける様な体勢で受け止めていた。 「いい攻撃だ!行くよ!」 セシルさんは、そのままの体勢のまま僕の剣を押し返してきた。 僕は、逆に体勢を崩されてよろけてしまう。 セシルさんも間髪入れずに次の攻撃を仕掛けてくる。 まずは縦斬り。 両手で剣を振り下ろしてくる。 僕は、刀身部に左手を添えて受け止める。 かなり衝撃があるかと思ったけど、意外と簡単に受け止められた。 これも魔力を体中に回しているおかげなのかな。 すると、すかさず次は横斬り。 左から右へと剣で振り払ってくる。 今度は、バックステップでひらりと上手くかわしてみるが… セシルさんは、すぐに距離を詰めて次々に攻撃を仕掛けてくる。 何とか全部の攻撃を剣で捌いてはいるけど、セシルさんの攻撃は、とても速くて重い…! 隙を見つけて反撃を仕掛けてはみたけど、僕の攻撃は全て軽く受け流されてしまう。 鋭い攻撃、そして、防御もまさに鉄壁…。 この国の兵隊さんやシーカーの隊員さん達が憧れるのがよく分かる。 今の僕が敵うわけがない。 でもこんな凄い人と戦わせてもらってるんだから、もっと頑張りたい!
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