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セシルさんとの試合を遠くで見ていたルナ王妃がクスクスと笑いながら近づいてきた。
「それはどうでしょう?僕には嬉しそうに尻尾が揺れている様に見えますが…?」
…は、恥ずかしい。
わざわざ口に出さなくてもいいのに…。
僕は、急に恥ずかしくなって顔が真っ赤になってしまう。
「それからそのギアブレードは、レオン君が使っていた物なんだ。大切に使ってあげて欲しい」
「レオン君は、この国の代表選手として大会にも出ていたんですよ」
この世界のレオン君は、ギアブレードの才能も凄かったのか。
セシルさんの話によると、レオン君は世界の強豪が集まる大会で決勝まで勝ち進んだらしい。
でも、色々あって決勝戦は行われる事はなく、幻の大会になってしまったそうなんだけど…。
それから僕は、セシルさんとルナ王妃の2人に連れられてレナさん達の所へと戻っていった。
そしてその夜…。
夕飯も食べ終えて自分の部屋の中で寛いでいると、突然リビングから大きな歓声が聞こえてきた。
僕は、何だろうと部屋を出て足早にリビングへと向かう。
リビングへと入るとセシルさんが来ていた。
なるほど、さっきの歓声はセシルさんが来たからだったのか。
それにしても、荷物を抱えてきてるけど、どうしたんだろう?
「クロノ君!セシルさんがしばらくウチにお世話になるんだって!」
ミーナちゃんが嬉しそうに満面の笑みで話しかけてきた。
レナさんのお店『クローバー』はちょっとした宿泊も出来る。
それにレナさんとはシーカーの事で色々相談も出来るからクローバーを訪ねてきたんだろう。
「まさかこんなに歓迎してくれるとは思わなかったよ」
苦笑いしながらも照れくさそうな様子のセシルさん。
「セシルさん、また旅の話を聞かせて欲しいなー」
ミーナちゃんがセシルさんの手を掴んでグイグイ引っ張っている。
セシルさんは、今は世界中を回ってFATE(フェイト)の動向を調べているから色々な場所を巡っている。
世界中で見てきた事を聞くのが、みんなの楽しみなんだって。
「ははは…!分かった分かった。それじゃレナさん、済まないけど貸してくれる部屋に案内してくれますか?」
「えぇ、こちらへどうぞ!」
レナさんは、優しく微笑むとセシルさんの荷物を持ってリビングを出て行った。
セシルさんは、ミーナちゃんに腕を引かれながらレナさんの後を追って行く…。
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