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第6話 休息 思い出とギター
あれから僕は、ミーナちゃんと一緒に学問の勉強と魔法の訓練の為に毎日お城へ通っている。
本当は、ちゃんと学校へ通った方がいいみたいだけど、FATE(フェイト)の活動が活発になってきている事もあって、魔力を持つ子はお城で勉学や魔法の勉強をするようになっているみたい。
正直、最初は勉強の為にお城に通うのは気が進まなかった。
というのは、ずっと研究所で監禁状態にされていたから、同年代の子と話す機会もなかったし、何より学校の様な空間が未知の場所だったから…。
でも、実際に通ってみると、そんなに心配する事もなく、みんな笑顔で迎え入れてくれた。
…休み時間になると僕の尻尾を一斉にモフりにくるのが唯一困った所なんだけど。
そんなに気持ちいいのかな、僕の尻尾…。
そして、この町に住み始めて1か月が経とうとしたある日の事だった。
「いよいよ来週だねっ!サーカス団が来るの!」
「…サーカス団?」
ミーナちゃん達が何だか楽しそうに話しかけてきたけど、状況がよく理解出来ずにキョトンとしてしまった。
どうやら世界中をまわっているサーカス団が2年振りにこの町へやってくるらしい。
サーカス団が来るのを心待ちにしているのは、子供達だけじゃなく、大人達も楽しみにしているとか。
そういう僕もサーカスを見るのは初めてだから、ミーナちゃん達の話を聞いていると、なんだかワクワクしてくる。
世界を旅してまわるサーカス団、どんな人達なんだろう?
ホームルームが終わると、僕はシーカーの本部へ、ミーナちゃんはレナさんのお店『クローバー』のお手伝いに。
勿論、ミーナちゃんもシーカー本部で訓練をする事もあるけど、レナさんのお店はこの町で人気のお店だから少しでも人手がいるんだって。
「こんにちはー!」
元気な挨拶と共にシーカー本部へと入る僕。
あれ?セシルさんがいない…。
辺りをキョロキョロ見回していると、それに気が付いて隊員さんが話しかけてきた。
「こんにちは、セシルさんなら王様の所に行っているよ」
そうなんだ。
今日も稽古をつけて貰おうと思ってたからガッカリ…。
本当は他の隊員さん達にお願いしたい所なんだけど、入団以来セシルさん以外の人と稽古はしていない。
どうやら中庭でセシルさんと手合わせした所を見られていたみたいで、誰も僕と練習試合をしたがらないみたい。
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