第1話 夢のはじまり…

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「行っちゃった…」 「どうしよう、お姉ちゃん…。私たち正体を知られちゃったよ…」 頭の中で整理が出来ず、僕が出て行った扉を見つめる2人…。 「と、とにかく行き先は分かってるし…。後はお母さんに報告しとこう」 ココさんはそう言うと店の奥へと入って行った。 それから数時間後…。 お店を飛び出した僕は、人目を避けつつ町外れの丘へとやってきた。 「ここ…か」 丘を登って行くと、西から夕日が僕を照らす。 そして、そこから見える町と海も夕日で赤く染まっていた。 なるべく人目を避けながら来たため、時間が掛かってしまったみたい。 それにしても、ここってこんなに綺麗な景色が見れたんだ…。 長いこと研究所から出た事がなかったからこんな夕日を見るのも久しぶりだった。 綺麗な夕日に目を奪われながらも丘を登り切る。 そして、丘の上にあったのは岩で作られた小さなお墓だった。 『希望の力を持つ少年 レオン ここに眠る  享年5歳 この子が生きた証を受け継いでくれると願って』 彫られた文字は、かなり時間が経っているのか後半部分が消えかけていた。 「確かにレオンだ…。僕の…お墓だ…」 本当にあった、レオンのお墓だ。 出来れば嘘であって欲しかった。 でも、そんな僕の儚い願いは残酷に引き裂かれた…。 …僕の本当の名前は『レオン』だ。 お墓に彫られた名前と同じ…。 信じたくない。でもこれはどうみたって自分のお墓だ…。 僕は漠然とお墓を見つめる…。 すると、後ろから声をかけられた。 「珍しいの、ここにお墓参りに来られるとは…」 振り返るとそこには狐の姿のお爺さんが花を持って立っていた。 お爺さんは、お花を供えると手を合わせて目を閉じた。 数秒の事だが、僕にはなんだかとても長く感じた…。 お爺さんは目を開け、「ふぅ…」と息を吐くと僕を見つめた。 「お前さんを見ていると不思議な感覚を覚えるの…。ワシとは別の時間が流れているようじゃ」 「お爺さん、このお墓は…?」 僕は勇気を振り絞ってお爺さんに質問する。 お爺さんは重い腰を上げ、墓石に手を添えて、口を開いた。 「これは、レオンという少年のお墓じゃ。生まれながら強力な魔力を持つ心優しい子での…魔力を持つ者にとっても持たぬ者にとっても希望の存在じゃった。じゃが、その魔力を利用しようとする連中が現れたんじゃよ」 「FATE(フェイト)…」 「ほぅ、よく知っとるの…。レオンは、FATE(フェイト)によって捕われ、実験体にされたのじゃ。そして、命を奪われた」 お爺さんは、立ち上がると僕の肩をポンポンと優しく叩いた。 「不思議な少年よ…。お前さんは、自分の命を大切にな…」
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