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そう言うとお爺さんはゆっくりと丘を下りて行った。
お爺さんが優しく叩いた肩がなんだか暖かい…。
僕はお爺さんが見えなくなるまで後ろ姿を見つめていた。
そして、姿が見えなくなると再びお墓の方と向き合った。
さて、これからどうしようかな。
他にも情報が欲しい所ではあるけれど、町へ戻った所で行く宛もない…。
かと言って、このまま自分の名前が彫ってあるお墓の前にいるのも…。
僕はため息を吐きながらお墓を横目に見る。
すると、夕日に照らされているお墓がほんのり青く光っている事に気がつく。
何だろ?
不思議な力を感じるような…
僕は、お墓に向かって左手を伸ばす。
でも、その時、背後から何者かに抱えられ、ハンカチのような物で口を塞がれてしまう…。
僕は何とか逃げようと必死に抵抗したが、ハンカチには何か薬品が染み込ませてあったのだろう。
すぐに意識が朦朧とし始め、その場にガクッと崩れ落ちてしまった…。
「ごめんなさいね、クロノ君…。このままあなたを逃すわけには…ね」
僕を背後から襲ったのはカフェ店員のココさん。
ココさんは、動けなくなった僕を抱き上げると、丘を下りて行った…。
僕は、これからどうなるんだろう…?
ココさんに抱かれながら僕の意識はゆっくりと消えて行った。
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