第2話 クロノとレオン 時のさざなみに誘われて…

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第2話 クロノとレオン 時のさざなみに誘われて…

僕は、ココさんに連れ去られてしまった。 どれ位時間が経ったんだろう? ハッキリしない意識の中、僕は目を覚ました。 どうやらソファーに寝かされているようだ。 気を遣ってか、体には毛布が掛けられていた。 「う…んー…!」 まだ嗅がされた薬が効いているみたいで、いまいち頭が冴えない…。 それでも状況を整理しながら体を起こそうとしてみる。 でも、手が縛られていて動けない事に気がついた。 手を使って体を起こせないため、足で反動をつけてなんとか体を起こす。 「ここ、どこだろ…?捕まえたのはココさん達だろうけど…」 部屋の中は、意外にもテレビや食器棚など生活感溢れる部屋だった。 とりあえず、ここがどこなのかを調べようかな。 まずは手を縛っているロープを解かなくちゃ。 僕の腕はロープで腰の辺りにグルグル巻きに巻かれていて、両手は後ろで縛られていた。 そして、それがただのロープではない事にも気がついていた。 「…魔法がかかってる」 次に床に魔法陣が描かれていることにも気がつく。 魔法陣よりも外には出られないように魔法が張られているという事かな。 「随分と厳重だなぁ…」 厳重な魔法のトラップに思わずため息をつく。 とりあえずロープを解こうと左手の指をなんとか動かしてロープに直接触れる。 僕は目を閉じて指先に意識を集中させた。 パチッ! 何かが弾けるような音がした。 かと思うと、指先に触れていた部分からロープが切れてスルスルと解けた。 次に、ソファーの上から左手を床の魔法陣へと伸ばして触れた。 これもあんまり複雑な魔法じゃない…かな? 僕は再び目を閉じて左手に意識を集中させた。 左手からは光が漏れ出し、僕の尻尾と耳が風に吹かれたように揺れる…。 しばらくすると床に描かれた魔法陣がすーっと消えて行った。 ひとまずこれでよしっと… 自由になった僕は、ひとまず部屋の中を調べ始めた。 窓から外を眺めてみると、カフェ前の道が見えた。 ここはカフェの2階かな? すっかり明るくなっている事から夜が明けている事も分かった。 さて、どうやってこの部屋から出ようかな。 部屋を見渡す限りは、出入り口は扉が1つだけ…。 窓から出るにしても高さもあるし、人の通行量も多い。 あんまり目立つ事はしない方がいいよね…。 という事は、やっぱり普通にドアから出た方が安全かな…。 安全を考えてドアから部屋の外へ出ることにした僕は、ドアノブに手を伸ばす。 でもその時、何かを感じてピクッと手が止まった。
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