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…ドアにも魔法がかかってる。
再び左手を出し、目を閉じて意識を集中させる。
体がほんのり光だし、尻尾と耳が再び揺れる…。
トラップは特に無い…かな。
この時、僕は魔法とは少し違う感覚を覚えていた。
何だかさっきまでの魔法とはちょっと違う…?
でも、特にトラップはなさそう、かな。
何も無い事が確認出来ると、一気に意識を集中させて扉に触れる。
パチッ
弾けるような音と共に扉が開いた。
さっきと同じ人がかけた魔法とはちょっと違う気がする…。ちょっと手間取っちゃったな。
部屋の外に出ると、右奥と左奥の2ヶ所に階段が見えた。
物音を立てないようにゆっくりと右奥の階段へ進み、付近の窓から外を覗くとお店の裏の道が見えた。
この階段を下りると、お店の裏口へ繋がる所へ下りられるかな…。
僕は、誰も来ない事を祈りながらそっと階段を下りて行った。
1階に下りると壁に隠れながら廊下を覗き込む。
誰もいない…。
さっきまであんなに魔法が張られていたのにと思わず拍子抜けしちゃうな。
誰もいない事を確認すると、裏口からお店を脱出した。
行き先はただ一つ。
不思議な力を感じたレオン君のお墓だ。
もう一度よく調べみよう。
人目を避けながら再びレオン君のお墓へと向かう。
なんとか時間を掛けずに丘の近くにまでやって来れた…。
でも、昨日とは様子がおかしい…。
スーツや白衣に身を包んだ人達が丘を登っている。
「早いとこ調べてここを離れよう…」
脇道に外れ、木や茂みなどの物陰を使いながらなんとかお墓のすぐ近くまでやってきた。
お陰で小枝や葉っぱ、土埃なんかが全身の体毛に付いてしまっていた。
僕は茂みからレオン君のお墓を覗き込んだ。
怪しげな集団がレオン君のお墓を調べている…。
でも、何も進展が無かったみたいで、数分後にはその集団はお墓から離れて行った。
怪しげな集団が離れていくのを確認した僕は、茂みからそっと身を乗り出し、墓石と向き合った。
何だろ…やっぱり何かを感じるけど…。
魔法とはちょっと違うような…。
墓石の周りから何かを感じ取ってはいるが、何もおかしな所はなさそう。
そうだ、左手で墓石を触ったら何か起こるかな。
僕は、試しに左手で墓石に触れてみる事にした。
指先でちょんとほんの少し墓石に触れる…。
と、その瞬間、墓石が激しく光り出した。
「うわあぁっ!?」
強い光と共に突風に吹かれた様に飛ばされそうになって思わず声を上げる。
運が悪い事に騒ぎを聞きつけた怪しげな集団までもが僕の近くへ集まり出してしまった。
「小僧!何をしている!?」
4、5人が銃のようなものを僕に向けて構える。
うぅ…最悪だ。
でも、墓石から溢れ出てくる閃光が強すぎて逃げたくても逃げられない。
…もう、ダメだ。
僕は、撃たれる事を覚悟しながら必死に閃光と突風に耐え続けた。
そして、しばらく続いた激しい閃光と突風は徐々に弱くなり、その数秒後には収まった…。
「お、収まった…?」
僕は、ほっとして「ふぅ…」と息を吐く。
…あれ?そう言えば撃たれてない…。
閃光で怯んでたからチャンスだったはずなのに…。
恐る恐る振り返るとそこに居たのは、武器を構えたままの怪しげな集団…。
でも、その人達は固まったまま動かず、言葉も発しなくなっていた。
他にも木の枝から落ち始めた木の葉が空中で止まっていた。
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