旅の果て

1/1
前へ
/15ページ
次へ

旅の果て

寒気が戻りまだ3月が冬であることを実感させる雨の早朝 不気味な静寂が漂う日曜日 休日にしては人が少なく 本当にこの現象が今の平和ボケした日本人にとっては前代未聞の異常事態である事を顕著に表している。 新型コロナウイルスの影響 閑散とした空港 私が飛行機に乗ったのは もう20年ぶりとなる 国内線、以前はこんなにも検疫が厳しくは無かった筈 私はどきどきしながら荷物検査を終了して 椅子に座り、ほっとしている。 なにも疚しい物は持参していない しかし突然ブザーが鳴れば嫌なものである。 空港内はマスクをした人達ばかり 私も妻もマスクをしている 全く、なんて世の中になったのだろう ホラー映画の世界みたいになってきた 私は一週間の長期休暇を取り 人で溢れ帰った都会から離れ 妻と一緒に南国へと飛び立った 窓から見える雨の空港 いつも思う こんな鉄の塊が空を飛ぶ不思議さ 飛行機の窓から見える景色は雲、雲 全く雲しか見えない そこに光が差し込むとそれが、ぼやけた白と薄青のグラデーションとなり荘厳な光景を顕現させている 高天原は此処なのかと想いを馳せる 私は飛行機内でのスマホが使えない退屈な時間に、とりとめのない夢想に耽っている 南国の離島 コロナ騒ぎで観光客は激変してホテルに滞在している人は少ない そしてなによりも客は日本人ばかりである 今までは何処の観光地でも外国人客で溢れていた。 日本人はマナーがよく行儀がよい 今回の休日をとても静かに過ごせる心持ちにさせる 南国の気候 今日は風が強いのに生暖かい 自然と共に生きている土地 蛙の声を聞いたのは何年ぶりだろう 虫と鳥と得たいの知れない生き物の鳴き声 精霊の声が聞こえてきそうだ 風の音と共に精霊の声が重なっているのかもしれない 昼間の顔は来訪者を歓迎するビジネススマイル 夜の顔は本来の姿 自然が主となる 都会で暮らして くだらない事で心を疲弊させてる弱き魂 翌日は生憎の雨模様 相変わらず風が生温い ホテルの窓から見える海辺 海の色が本当に青と白だけ レンタカーを借りて有名な場所をドライブした 横に乗っている妻も感動している 確かにこの景色は絶景 よく海の上に、こんな橋をかけたものだ 橋をかける技術 これは神業 古代日本ではこれを鬼神の神業とされていた 渡来人の秦氏一族はこの技術を持っていて 鬼の一族とし書いてある書物もある 古代の鬼は神と同義で決して悪しき象徴ではない。 自然が主となり 人間が踏み込めない場所が残っている離島
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加