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“今日は楽しかったよ。来てくれてありがとう。今日のこと、ゆっくりでいいから考えてくれたら嬉しいな”
先輩から受信したメッセージは、今も私のスマホの中に確かに残っている。
その文字の羅列が、あの日のことは夢ではなかったのだとはっきり証明してくれた。
「まあでも、返事は今はいらないって言われたわけでしょ?なら丁度いいじゃない。改めて高遠先輩に向き合ってみて、じっくり考えればいいのよ」
「うん……そうだよね」
真っ直ぐに伝えてくれた気持ちには誠実に応えたいって、そう思う。
正直気まずさとか恥ずかしさとかは中々拭えそうもないけど……逃げないで、私からも高遠先輩にきちんと向き合う努力をしないと。
「桃ちゃん、ありがとう。話を聴いてもらえて何だかすっきりしたよ」
「別にいいのよ。聴かせてって催促したのは私だしね。……あ、そういえば」
数秒の間の後、何か思い出したのか声を上げた桃ちゃんは、少しの興味と心配の色を瞳に宿して問い掛けてきた。
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