あるところに泣き虫な女の子と双子の男の子がいました。

3/27
前へ
/197ページ
次へ
東京から新幹線に乗って二時間半。 駅まで迎えに来てくれたのは、これから私のお父さんになる人。想像していたよりもずっと若々しくて、格好良い。それが第一印象。 「やあ、初めまして。僕は小鳥遊渉(たかなしわたる)といいます。これからよろしくね、澪ちゃん」 にっこり笑ったその顔は毒気を抜かれてしまう程に優しくて、お母さんってば良い人見つけたじゃん、なんて心中で呟いたものだ。 これから住むことになる、私とお母さんにとっての新居に向かう道中。 お父さんになる渉さんは、運転しながらこれから会うことになる弟たちのことを話してくれた。 ここで分かった事実が、なんと二人は一卵性の双子なのだという。 兄が(とおる)くん、弟が(かおる)くんというらしい。 「二人共顔がそっくりだから、始めは見分けるのが難しいかもしれないね。あと少し……わんぱくが過ぎるところもあるけれど、根は優しい子達だから」 息子のことを話す渉さんの瞳は優し気に細められていて、そこからは深い愛情が感じられる。
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

388人が本棚に入れています
本棚に追加