あるところに泣き虫な女の子と双子の男の子がいました。

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「……仲良くなれるかな」 ぽつりと零れた不安を拾ってくれた渉さんは、瞬きを一つ二つ落としてから、柔らかい笑みを湛えて頷いた。 「ああ、もちろんだよ。澪ちゃんならすぐに仲良くなれるさ」 出会ったばかりの人にこんなことを思うのも変かもしれないけれど、渉さんの言葉には凄く安心感を覚える。 柔い笑みは空気をふんわり優しいものに変えてくれるようで、マイナスイオンが出ているのではないか、なんて錯覚してしまいそうだ。 「まあ、ないとは思うけど。もしあいつらに何か嫌なことを言われたりしたら、直ぐに言ってね。僕はいつでも澪ちゃんの味方だから! それに……突然生活環境が変わって、不安なこともたくさんあると思うんだ。でも、決して一人で溜め込まないで欲しい。気なんか遣わないで、何でも話してほしいな」 車を駐車した渉さんは、後部座席に座る私と助手席に座るお母さんを順に見ながら言葉を紡いでいく。 「頼りないかもしれないけど……澪ちゃんにお父さんって認めてもらえるように、頑張るから。美歩さんと澪ちゃんとのこと、大切にする。幸せにするからね」 「っ、ふふ。渉さんってば」 渉さんの真っ直ぐな言葉に幸せそうな表情のお母さん。 はにかんで笑うお母さんの横顔を見ていたら――胸の隅っこにあった黒いモヤモヤが、コトンと音を立てて崩れた気がした。
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