お母さんのバカッ

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お母さんのバカッ

「お母さんのバカッ、なんで今日のおやつプリンじゃないの!昨日言ったじゃん、明日のおやつはプリンにしてねって」 八月十三日、学校から帰ったばっかりの小坂 愛はありったけの力を込めて母親 恵子を睨みつけた。テーブルの上に置かれているお皿には、プリンではなくクッキーが3枚乗せられていた。 「ごめんね愛ちゃん、昨日スーパー行ったんだけど売り切れだったのよ、クッキーで我慢してくれる?」 申し訳なさそうに胸の前で手を合わせる母の姿を見てもなお強情な態度を取り続ける愛。 「お母さんって本当につかえないなぁ、もういい!遊んでくる」 「ちょっと愛ちゃん、待ちなさい」 そう言われて泊まるはずもない、愛は玄関を飛び出し公園へ向かった。 「愛ちゃんったら、どこでつかえないなんて言葉覚えてきたのかしら、もう8歳だってのに困った子ね」 そう言って鏡に目を移す。ここ最近小皺が目立ってきたような気がする。8年前の面影は日々薄れつつある。 そして反対側にある窓の方へ顔を向けた。 窓の外には横断歩道があり、今愛がそこを通って行った。その光景を恵子は愛娘を思い微笑むのだった。
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