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友達ができた
お母さんのバカバカバカ、愛はプリンが欲しかったのに。
でも、つかえないって言ったのは言いすぎたかな?クラスの暴れん坊 勇君に、つい最近言われた言葉だった。それに、クッキーも美味しそうに思えてきた。
お母さん…ごめんなさい、そう思い帰ろうとした矢先、目の前に同じ歳くらいの女の子が現れた。
「愛ちゃん?」
えっ?今愛のこと呼んだ?
「愛のこと知ってるの?」
その少女はにこにこ笑いながら近づいてくる。赤いミニスカートが可愛らしい。
「うん、知ってるよ、一緒に遊ぼ!」
多少強引に腕を引っ張られる。同い年くらいとは思えないくらい強い力に驚いたが彼女の笑顔はビックリするほど魅力的だ。
「うん!」
「じゃあ、砂場でトンネルつくろーよ」
「トンネル?つくったことないよ?」
「私は作れるから大丈夫、簡単だよ♪」
そう言って愛を砂場に連れてくる。
「まずね、お山作るの」
「山、山、」
周辺の砂を集めて山城に盛り上げていく。
体育座りした時の膝と同じくらいの大きさになった時、
「ストップ!じゃあ真ん中に穴あけよう」
「穴?できるの?」
「うん、じゃあ愛ちゃんはそっちから掘って?私はこっちから!」
しばらくすると、愛は少女の髪型がとても可愛いことに気が付いた。可愛らしい編み込みが丁寧に作られている。
「すごいねそのかみの毛、自分でやってるの?」
「うん、そうだよ♪」
「すごいね、かわいい」
「でも、愛ちゃんの三つ編みも可愛いね」
「これ?これはお母さんがやってくれたんだ。愛はむずかしくてできない」
「…すごいね、愛ちゃんのお母さん、いいなぁ」
愛は母の姿を思い浮かべる。
「そういえば、喧嘩しちゃったんだよね、お母さんと」
「なんで?」
「ううん、なんでもない、早くとんねるつくろ!」
作業再開だ。しかし少女は手を動かさない。
「ママと喧嘩できるなんていいな」
「なんで?喧嘩したいなんて、変なの」
少女の動きがピタリと止まった。顔が暗くてよく見えない。
「なんでもない、今日はもう遊びやめよ?」
「えー?なんで、もっと遊ぼうよ!」
「明日やろうよ、それにお母さんと喧嘩してるんでしょう?仲直りしなさい」
「え?でも」
「いいから!」
突然のことにビックリする。しかし、喧嘩しっぱなしも良くない。
「うん、バイバイまた明日ね〜」
「うん、バイバイ」と手を振っている彼女に、さっきの暗い面影は無くなっていた。
「後、2日、我慢」
無人になった公園に、この一言は重すぎた。
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