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神略戦争~防人怪異交戦記録~
地表を覆う緑の濃さは高度が下がるほどにハッキリしてくる。大型輸送機“C-130”の窓越しから覗く風景を眺め、自衛隊PKО(国連平和維持活動)派遣部隊に所属する
“山伏(やまぶし)二等陸曹”は手元の64式小銃に視線を移す。
国連平和維持活動下において、武器の携行はほとんど認められていない。あくまで警備上の建前で、前時代のNATO軍正式口径弾(7.62ミリ)仕様、減装弾(火薬量半分)と言った旧式装備の使用が許可されている。
近年の中東での活動は例外中の例外、あそこがまだ戦闘激化が予想される区域だったからだ。
(まぁ、それでもないよりはマシだがな…)
自身の任務地は安全になったとは言え、かつては人喰い大統領に女王がたむろした混沌の地…文明発祥の地は大国共に散々、食い物にされ上で荒廃し、今は同情主義のインテリ共の
お涙と慰みを受ける始末…
その偽善的奉仕活動のための実際活動要員…文句の一つも出してやりたい。
「ヘイ、何だか、動きが可笑しいぜ?ジャポネ(日本人の呼称)」
機内に同乗する国連軍の“ベンガホ”が隆々とした筋肉剥き出しの腕を半そでベストから抜き出し、こちらに見せつける。
どう見ても、元ゲリラ、いや、政府軍として今大陸で暴れた風の男だ。顔に走った刀傷は山刀か?自衛隊派遣メンバーを最初から馬鹿にしていたが、山伏には自分と同じモノを感じるらしい。(現地語と英語がそこそこ喋れるという事もあるが)
事あるごとに絡んできている。
「機体が揺れてる。コイツは通常操縦じゃねぇなっ」
「じきにわかるさ、ほら、ベンガホ…」
山伏が指さす先には国連部隊の指揮官がいた。表情は少し困ったと言う感じ…
こーゆう顔が一番不味い。そして、この数秒後に彼の口からもたらされた言葉は想像通りのモノだった…
地面に降下した瞬間、空調の効いた機内に比べて何十倍の熱気と乾燥、圧倒的な緑の匂いが全身を包む。予備傘と既に開いた落下傘を背中から切り離す。
銃の動作状況、無線を確認しようとした刹那、隣の草地に降下した影に、思わずため息だ。
「ベンガホ…何故来た?」
「ここは俺の地元だ。いくら経験豊富のジャポネと言えど、迷わねぇよう、
観光案内すっぜ?」
「そうか…そうだな。ありがとう」
ニカリと黄色い歯を見せるベンガホは旧政府軍支給のガリル突撃銃を自慢げに翳してみせた。元々、気のいい人間なのだろう。無碍に断る事は出来ない。
頷く山伏の頭に、国連指揮官の
「非武装地帯になっているエリアの密林から信号弾が上がった…」
と言う言葉が再度思い出される。信号弾の色は赤、コードレッド、緊急事態の意だ。原則なら支援に駆け付けなければいけないが、乗っているのは、派遣されたが、戦えない日本人の群れと、同じくらいの平和な国出身の兵士達のみ…勿論、指揮官も含めてである。
そして、大型輸送機が着陸できる平地も無い事が最大の難点、本部に連絡したが、何故か無線が通じない。
とりあえず実践経験が僅かでもある山伏が先に降下して、偵察し、無線が使える場所まで移動、状況を報告する事が決まった。本隊は予定通りの場所に向かい、そこから応援を寄越すとの事も…
ちなみにパラシュート降下経験者は自分だけだと思っていたが、違っていた。こんな事なら、降下するんじゃなかったと死ぬ程、後悔している山伏だ。
歩き出す二人の鼻に独特の臭いが漂ってくる。嫌な予感が的中だ。こちらを向くベンガホが楽しそうに頷く。
「白人も、お前の仲間もマヌケ面ばっかりだが、アンタはやっぱり違ったな。この臭い、まだ、そんなに時間は経ってないよな?」
「ああ、注意しろ。ベンガホ」
「へへっ、言われなくともだぜ!」
やがて、足元の道が不自然に舗装されるのが目立ち始め、予想していた光景が広がっていく。
「コイツは酷いな、皆殺しか…?」
「そのようだな…」
密林に偽装した迷彩に包まれた機材や装備品の箱、それに銃のあちこちに血が飛び散っている。死体のほとんどは原型を残していないが、かろうじてわかる肉片のパーツから推測するに現地人ではなく、白人のようだ。
「FN SCAR(ベルギー製突撃銃)にACRブッシュマスター(米国製突撃銃)…あんま、この国じゃあ、見かけねぇ武器だ。何処の部隊だ?国連にも見えねえが…」
「恐らく、ブラックオプス専門の不正規戦部隊だろう。しかし、信号弾が上がったって事は
生きてる奴が何処かにいる筈だ。」
「手遅れでねぇの?」
おどけたように喋るベンガホが銃を素早く茂みに向ける。山伏も同様の動きをしていた。
そして、2つの銃口の先に1人の少女が現れる。服装は布一枚と白い骨のような装飾品で
飾っている。何処かの部族のようだ。
ベンガホがさりげなく、血の海から遠ざけ、現地語で話しかける。彼の言葉に少なからず
応答があり、しばらくすると、ベンガホが振り向き、言葉を発した。
「ジャポネ、彼女はこの近くに住む部族の者だ。2週間前に居座った、この白人達に協力していたらしい。」
「一体、何の?」
「それが…(珍しくベンガホが少し困ったような笑いを浮かべる)神様を探していた
そうだ…」
「神様?」
呟きと同時に当たりで連続した銃声と爆発音が起こる。ベンガホが少女を抱え、走りだす。
山伏は彼の背中をカバーしながら、64式の銃床を肩に押し当て、射撃体勢を取ると同時に
銃弾がヘルメットを掠めた。相手は間違いなくこちらを狙っている。しかし、何故?
助けがいるのではなかったのか?
考える間もなくACR突撃銃を構え、金髪を逆立て、口は血だらけの男が密林から飛び出してくる。片手に銃を持ち、空いた方は血塗れの何かが握られていた。それが自身の血でなく、誰かの心臓…それも咀嚼した後があるとわかった時、山伏は躊躇わずに引き金を引く。
胸を撃ち抜かれた男はゆっくりと倒れる。だが、それも数秒の間…壊れた人形のように再び、立ち上がった時は64式の残弾(20発装填)を全て叩き込んでいた。
7.62ミリの銃弾が男の頭と腕全てを壊した後、ようやく動かなくなったのを見て、安心する。だが…
「ジャポネ、まだ、いるぞ」
後ろにいたベンガホが叫び、ガリルを発射する。林のあちこちから姿を現した男達が自分達に迫っていた。
「ゾンビ映画なら、頭をぶち抜けば、止まるが?」
「‥‥(射的のように頭を撃ち抜くベンガホ)っつ!駄目だ、ジャポネ、体を完全に
破壊しないと止まらねぇっ!しかも、あいつ等、多分、意識がある。まるで…」
「誰かに操られてるみたいだな」
男達の顔には苦渋と涙、激痛に口を大きく開けている(しかし、声は出ていない)者もいる。自分の意思では、何も出来ず、だが、痛みは全て自分持ち…正に地獄の仕打ちだろう。
不安定に発射される銃弾の雨を躱し、ベンガホの隣に並ぶと、彼のマガジンベストに吊るされている手榴弾に手を伸ばす。
全てを察したベンガホが頷く。
「楽にしてやんな!」
「了解」と同時に引き抜いたピンを捨て、榴弾を男達の真ん中に投げつけた。爆発が起き、全てが吹き飛んだ時、山伏の耳に
「Thanks…」
と言う英語が聞こえた気がした…
「私達の村には、昔から神様がいたの。神様は凄い力を持っている。神様に見られると、さっきの白人さん達みたいに、人を操る事だって出来る。時々、村に現れた。そこで選ばれた娘が、神様と一緒に神様の世界に行く。
今年は私の番だった。そしたら、白人さん現れて、こう言った“君達の神様を見たい”って、
断る事出来なかった。銃を持っていたから…そして、こうなった。多分、神様怒ってる。
村の皆、貴方達、殺される」
たどたどしく語る少女の目に涙が浮かぶ。ベンガホがそっと、抱き寄せ、頭を撫でてやる。
「その、神様はここに来るのか?」
山伏の問いに少女がゆっくり頷く。
「なるほど、ソイツは不味いな…すぐに準備しないと…」
「オイッ、ジャポネ?準備って何だ?」
「確かに人智を超えた敵だ。白人達も随分前から調べてたんだろう。そして、こうなった。無線は通じるか?通じないよな?増援は期待出来ない。だったら、俺達で何とかするしかない」
喋りながら、殺戮地から持ってきた装備を並べ始める。少し慌てた様子だったベンガホが、やれやれと言った様子で首を振る。
まだ、事態が呑み込めないと言った感じで小首を傾げる少女の手に、小型の閃光弾を握らせる。
「これは?」
「いいか、ガキんちょ…おたく等が神なんていうのは、恐らく神じゃない。何故、全治全能の奴がおたくみたいなガキんちょを欲しがる?ロリコンかよ…笑えねぇな?
恐らく、昔、誰かが戦うのを諦め、奴さんに餌を与えたんだ。アイツは味を占め、野蛮な風習を万事継続中ってところだろう。
間違ってる。少なくとも、それを知っちまったからな。だから、守ってやる。俺は自衛隊だ」
「ジ、エータイ?」
「おたくみたいな、恐らく、いい子を守る兵隊の事だ。コイツは護身用。勝機は正直、まるで見えねぇが、必ず、攻略する。だが、万が一、ヤバくなったらピンを抜け、いいな?」
「ヤバく…?」
「あれだ、何つーかな、嬉しい事とか、楽しい流れに持ってきたいと思ったら、そのピンを抜け!もっと楽しくなる、おいっ、ベンガホ、笑うなよ?」
山伏の声に少女は小鳥のようにさえずり、ニコーと笑った後、ペターっとしなやかな肢体を地面に寝そべらせ、お祈りのように両手を伸ばした(東洋的に言えば土下座の延長にも見える)
「そりゃ、一体、何だ?」
「神様にあった時の作法、昔はこうやって、果物とか、綺麗な石とかを神様の足元に置いて、渡したの。兵隊さんも困ったら、こうやって、神様に許しを請えばいい、そうすれば楽しくなるし、幸せになる!」
「‥‥‥全然…、わかってねぇよ…だから、あれは…」
「もう来てるよ?神様…?」
少女が指さすのと植物や木々がなぎ倒されるのは、ほぼ同タイミング、山伏は振り向きざまに銃を撃つのを忘れなかった…
「クソッ、7.62ミリも手榴弾も効き目なしか?」
マガジンポーチにあった弾倉を全て撃ち切った64式を相手に向けて放り投げる。間髪入れず肩から降ろしたFN SCARライフルの銃弾で攻撃するが、弾は全て弾かれる。
「見えないバリア…敵はウルト〇マンかよ」
密林の樹木をなぎ倒し、足は宙に浮かばせ、進んでくる相手に、この言葉は正に適任だろう。
少女の教えの通りに相手の顔を見ないで、ピンクが入った白足だけを見つめて、攻撃するが、
敵…一応、神の前には見えない壁、バリアのようなモノがあるらしく、銃弾も爆発も相手の手前で消滅している。この分だと、こちらが触れただけで、体が砕け散りそうな想像すらできる。
「オイッ、ジャポネ。下がれ!コイツには一個師団が必要だ」
少女を背負いながら銃を撃つベンガホが怒鳴る。
「来る訳ねぇだろ?馬鹿タレッ!そんな暇があったら、走って逃げろ!狙いはその子だぞ?」
新しい弾倉を差し込み、手持ちの装備を確認する。銃の下部に収まったランチャーサイト用の40ミリ榴弾、C4爆薬、お弁当箱みたいな設置式地雷クレイモア、手榴弾…ナイフに
後は股間の大砲…駄目だ、特に最後はとてもじゃないが、役に立たない。
(諦めろ…)
突然、脳内に響いた声に思わず顔を上げた瞬間、目の前に迫った敵の顔を直視してしまう。
不味いと思った時は既に手遅れ、全裸(股間には何もなし)に人型だが、ヤギのような顔をした神の細い目の奥に光る何かが、頭の中に…
「ウオオオオオオオオ」
気力を振り絞った絶叫のすぐ後には、右肩に火箸をズッポリな激痛…自分で肩にナイフを刺したおかげで、人形ポジを逃れた。だが、少女もいない。神もいない。残ったのは過剰な失血の自身と同じくらいの血を腕から溢れさせているベンガホの姿だけだった…
「オイッ、本当に行くのか?」
止血パッドの上から何発も差し込まれた40ミリ弾の弾帯を通す。背中にはビル一つを吹き飛ばせるだけのC4爆薬入りのリュックを背負い、手にはグレネードサイト付き、ACRブッシュマスターライフルを持った山伏にベンガホが声をかける。
「俺達の任務は平和維持だ。アレは平和を脅かす。何より、約束した。少女を守ると…」
「守るって…向こうに攻撃は当たらない。正に神様だ。どうすんだよ?」
訝しむ彼に、近くの木切れを見せてやる。少女が連れ去られた後、見つけたモノだ。
目を細めたベンガホが呟く。
「それは血か?」
彼の目の色が変わる。やはり同類だ。言葉を返す。
「色は違うが、恐らくそうだ。あれだけの爆発に銃弾をお見舞いしてやった。弾は届かなかったが、血を流している。だから、勝てる。好きな映画の台詞を丸パクリだ。
“血が出れば、殺せる”」
山伏の言葉にベンガホが笑い、銃の代わりに大振りの山刀を抜く。
「わかった。俺も行く」
「それは遠慮だ。万が一、俺が失敗した時と、成功した時の助けが欲しい。アンタはとりあえず、本部と連絡を取り、応援を寄越してくれ」
山伏の言葉にベンガホが渋々と言った様子で言葉を頷く。やはり、頭のキレる男だ。これなら問題なく後ろを任せられる。
「‥‥…わかった、ジャポネ、行ってこい、帰ってきたら、俺の部族の戦士として歓迎する」
「それも、遠慮…国家公務員は副業禁止らしい」…
薙ぎ倒された木々を辿れば、相手にすぐ追いつけた。密林に隠された洞窟の中には、今まで見た事のない装置、いや、それすらもわからない謎の物体で埋めつくされている。とりあえず、その一つ一つにC4を置き、先に進む山伏にも、わかるモノが視界に入ってきた。
「子づくり、それが女のガキを攫った理由か?」
テーブルのような物体の上に、子猫くらいの大きさの、ヤギ頭クリソツの生き物が転がっている。その背中は裂け目があり、まるで何かが抜けたような跡がある。脱皮し、成長した
のが、奴という事か?
(その通りだ。我は産み落とされ、ここまで成長した)
相手は心を読むだけでなく、映像まで送れるらしい。山伏の疑問は全て説明してくれている。頭の中でだ。幼い娘を攫う理由はヤギ頭の特性に母体が慣れるよう年月が必要との事。そして、子供を産ませた時、成体のヤギ頭は死に、その体と母体を喰らって、幼体が成長していく。
全ては人間を監視するため…昔から定められてきた使命だとも…人類の歴史と共に歩んできたそうだ。
「なるほど、大体わかった。何だか、偉大で崇高だな。しかし、やりすぎだろ?もっと、
美味く誤魔化せなかったのか?」
(何十年、何百年に一度か、こーゆう事がある。戒めねばなるまい。誤算だったのはお前が来た事、ただ、それだけだ)
いつの間にか、宙に浮いた先程の神が洞窟の中央に現れる。背後には攫われた少女が浮かんでいた。意識があるのか、ボンヤリとした目をこちらにむけている。
「俺とベンガホを殺せば、全て丸く収まると…?そいつはとんでもない勘違いだ。応援は来るぞ?いっぱいな」
(全て、問題ない。お前が時間を稼いでいるのはわかっている。無駄だ。いくら、考えても
我を殺す事など出来ない。我は神、そう呼ばれているし、体現するものだ)
「全く…何でもお見通しかよ…わかった。降参だ。確かに神様だ。許してくれ」
敵を目の前にして、今更ながらに無力感が全身を支配した。悔しいが、非常に歯がゆい台詞を淡々とこなし、地面に這いつくばる。後は最後の手段に賭けるか?
「オイ、ガキんちょっ、許しを請うた。楽しみの時間だ」
山伏の声に少女が僅かに反応するが、よく見れば、閃光弾が無い。ゆっくり地面に降ろされた彼女の前で、こちらに距離を詰めてくる神の言葉が響く。
(無駄だ、我の視界を奪ったとしても、お前の心を読めなくなる訳ではない、諦める事だ。そのまま地面に這いつくばっていれば、全てが終わる)
瞬間、電撃のように、山伏の頭に閃くモノがある。這いつくばる?少女は何と言っていた?
“神様にあった時の作法、果物とか、綺麗な石とかを神様の足元に置いて渡し…”
神が何かを言う前に、素早く引き抜いた信管つきクレイモア地雷を地面に滑らせる。見えないバリアを難なく通過し、敵の足元に転がったのを確認し、スイッチを押す。刹那、数千個の鉄球と爆薬が相手を洞窟天井まで叩き上げた。
(馬鹿な…)
全身を切り刻まれ、ボロ雑巾のようになった神が地面に転がる。その横を通過し、少女を抱き上げた山伏は40ミリの弾帯を肩から外しながら呟く。
「元々の能力か?それとも信者との交流のため、そう変えたのか?足下、ほんの僅かに狭い隙間があるようだな。おたくの防壁には…クレイモアが通るくらいのサイズで
本当に良かった」
(こんな事をして、どうなると思う?我がいなくなったこの世界は…)
話途中の残骸に弾帯を放る。少し距離を取った後、片手で構えたACRのランチャーを一発叩き込んだ。巨大な火柱に向かって、呟く。
「そんときゃ守るさ。俺達がな…」
銃を肩にかけ、確認するように少女の体を強く抱きしめた後、山伏はゆっくり出口に向かっていった…
「やっぱり、帰ってきたな。流石だ。ちょうど良いタイミングだったろ?」
何処から調達してきたのか、応援の代わりに旧ソ連製の輸送ヘリに乗ったベンガホが、操縦席から振り返る。洞窟から上がった爆発の炎は密林全体を燃えつくさんばかりに広がっていた。
しかし、このおかげで国連軍が動き出すだろう。後は少女を村に帰し、自分達は原隊に合流すればいい。問題は何と報告するか?だが…
「なぁ、ジャポネ、これだけは聞きたい」
こちらの思惑とは裏腹に、いつもの陽気口調なベンガホの言葉が続く。
「何だ?」
「‥‥お前は神を殺したのか?」
山伏はしばらく考え、自身の腕の中で眠る少女の頭をゆっくり撫で、言った。
「いや…只の、ヤギの化け物だったよ…」‥‥(終)
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