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私が変えられるものは私しかない。けれど私には私をどうこうするつもりはない。
あの子が、あの子が、あの子が、まだ生きていたら。
私はその悲しみだけを持っている。
歩く、歩く、歩く。見えるものは全て同じにしか思えない。
あの子の瞳に会いたい。
「そんなところにいたのか」
私の虚の中に何かが入ってくる。それが音で、声で、その意味を認識する前に言葉は続いた。
「もうその星を観ているものもいない。お前の好きにしていいが、お前に何も力を残さなかったことを思い出してな」
生物でも作っておけ。別に壊してもいいぞ。
魅力的な言葉だった。それなら、あの子でもあの子でもあの子でもないものをつくろう。求めるものをつくろう。求めないあの子ではなく、求めたあの子やあの子のような生物をつくろう。
そうして作った中にもし愛し子ができたなら、その子が求めたのなら、この星を全て壊してしまおう、私も含めて。
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