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ジェームズたちが突然の来訪者に唖然として突っ立っているところに、ドラキュラとスコープが帰ってきた。
「ジェームズ! 新しいお客さんだぜ! 言われた通りカップル二人を車のとこまで届けてたら、麓から一台の車がやってくるのが見えたんだ! こんな時間に珍しいが、とりあえずカップルの車は移動させて隠しといたぜ。気絶した彼らを見つけて、ビビッて帰られちゃ困るからな」
ドラキュラは次の獲物こそ血を吸いたいと言わんばかりに涎を垂らした。
「いや、もしかしたら帰ってもらったほうが俺たちにとってはよかったかもしれないよ」
状況を知らないドラキュラは今度はポカンと口を開けた。そんな彼をよそにジェームズは館内の住人たちに向かって号令を発した。
「とりあえず全員持ち場につけ! 昼間だから臨時隊形で! 陽に当たれない者は十分注意するように!」
ジェームズの指揮はいつもテキパキしている。軍人上がりで、指揮能力においては当時から秀才だったが、今なおその経験が生かされている。
「ロバート、デイヴィッド。俺と一緒に来い。カゲフミを連れていくから俺の影に隠れてくれ。それからスコープ、君ももう一度頼むよ」
準備を終えると、ジェームズ一行は回転ドアを潜り抜けて外へ出た。
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