5

4/8
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
 あのとき、次のパーソナリティになっても番組を聴くと言っていた常連リスナーたちは、ラジオを聴いている様子がない。初めのころは皆ツイッターでメッセージを送っていたのに、今では番組に参加しているのはシロネコと光一だけだ。  FMコスモの生放送番組の魅力は、リスナーとパーソナリティの距離の近さだ。送ったメッセージはほぼすべて番組内で読まれる。自分が送ったメッセージを読まれるのはラジオリスナーとして嬉しいし、パーソナリティと会話をしているような気持ちになれる。  新しいパーソナリティの柴崎真里菜は、メッセージをほとんど読まない。進行に慣れていないせいかと思ったが、メッセージ紹介コーナーでも送られてきたメッセージを選んで読み上げている。  何百何千とリスナーがいる大きなラジオ局と違い、メッセージを読み上げられるのが当たり前になっているFMコスモでは、メッセージを読まれなかったリスナーたちは無視されたように思い、次第に番組から離れてしまった。  週の初めの月曜日から、嫌な思いはしたくない。好きで聴いているラジオなのだから、嫌になったら聴かなくなるのはリスナーの自由だ。  しかし光一には、FMコスモに恩があった。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!