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「しかし三崎の野郎は残念だったな。間違って火事にして、警察にしょっ引かれちまうんだからな」
俺は堪らず言い放つ。王城の真意が知りたかった。
はっと視線をくぐらす王城。
「翔くんが」
漠然といい放ち、呆けたように口を開ける。その表情から笑みが消えた。どうやらその事実は知らなかったようだ。
「放火じゃねーとしてもだ、間違いなくあの火事は三崎翔が原因。己の愚かさに気づき、自ら出頭したよ」
そして続く沈黙。三崎の逮捕は王城と弾正からすればかなりの衝撃なようだ。二人微動だにせず、その場に立ち尽くす。一方のマリアはその意味を理解してない。おろおろ戸惑う素振りで、俺と王城、その表情を見つめてる。
「あはは、翔くん、捕まっちゃったんだ」
突然王城が高笑いしだした。
「なんだてめー、なに笑ってんだ?」
「あはは、ゴメンね。翔くん、ボクらに隠れてそんなことしてたんだ。散々言ったんだよ、マリアはボクのいとこだって。酷いことはしないでって」
そしてあっさり言い放つ。
「はぁ、つまり奴の単独だって言いたいのか?」
「もちろんそうさ。翔くんの女好きは半端じゃないから」
王城の言い回しは、人を食った、おちょくるような言い回しだ。俺達はともかくとして仲間である三崎さえもおちょくっている。
「てめー、言ってる意味、分かんねーぞ。誰の為に奴があれだけの芸当したと思ってんだ!」
俺は心底吠えた。こいつらの関係や思惑なんかどうだっていい。それが奴らの生き方ってなら、好きにすればいい。問題は俺様の気持ちだ。王城の言い回しに無性に腹がたった。
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