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「まぁいいや。所詮友情なんか、その場かぎりの茶番劇だしな」
俺は言ってそっぽを向く。確かに他人の関係なんかどうでもいい。それに首を突っ込んだ、俺様が馬鹿だっただけだ。
「流石は魔王だね。よく分かってるじゃないか。正義だとか友情だとか、そんなことを言う奴は下らない」
王城が言った。その台詞、そっくりそのまま一弥に言えって思った。
「とにかくボクは帰るよ。マリアの無事が分かれば、ここにいる意味がない」
こうして王城は弾正を従えてその場から消えて行く。その後ろ姿を睨み、俺は考える。奴は直接ではないがマリアを狙っている。狙っている、ってよりは、嫌っていると言った方が正確かも知れない。だけど対するマリアは、その事実にまるきり気付いていない。気付いていないってより、幼かった頃のイメージが大きいんだろう。
「オッサン、便所行かねーか?」
俺は首をしゃくり、オッサンに言った。鍵を握るキーワードはオッサンだ。一族の家長であるオッサンなら、全てを知ってる筈。
静かに視線を向けるオッサン。その意味を感じ取ったか無言で頷いた。
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