真実

7/12
前へ
/18ページ
次へ
「まぁいいや。所詮友情なんか、その場かぎりの茶番劇だしな」 俺は言ってそっぽを向く。確かに他人の関係なんかどうでもいい。それに首を突っ込んだ、俺様が馬鹿だっただけだ。 「流石は魔王だね。よく分かってるじゃないか。正義だとか友情だとか、そんなことを言う奴は下らない」 王城が言った。その台詞、そっくりそのまま一弥に言えって思った。 「とにかくボクは帰るよ。マリアの無事が分かれば、ここにいる意味がない」 こうして王城は弾正を従えてその場から消えて行く。その後ろ姿を睨み、俺は考える。奴は直接ではないがマリアを狙っている。狙っている、ってよりは、嫌っていると言った方が正確かも知れない。だけど対するマリアは、その事実にまるきり気付いていない。気付いていないってより、幼かった頃のイメージが大きいんだろう。 「オッサン、便所行かねーか?」 俺は首をしゃくり、オッサンに言った。鍵を握るキーワードはオッサンだ。一族の家長であるオッサンなら、全てを知ってる筈。 静かに視線を向けるオッサン。その意味を感じ取ったか無言で頷いた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加