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「そろそろ話してくれよ、王城はなにを企んでるんだ。マリアを付け狙う理由があんだべ?」
トイレにいくなり、俺は訊いた。
しかしオッサンは答えない。返答に困るような、困惑した表情だ。
「教えてくれなきゃ、俺だってやってられねーぞ。直接はどうか知らんが、この前の武装チームの件と、今日の火事の件は、あのコゾーが裏で手を下してた。なんで親族である奴が、そんなことすんだよ」
俺は畳み掛けて語気を荒げる。実際ムカつく。王城に対してもそうだがオッサンの焦れったい態度にもだ。
ダン! 音が響いた。俺はゴクリと唾を飲み、眼前を見つめる。視線に飛び込むのは、数センチ手前に迫ったオッサンの顔面。チラリと横を見据えると、オッサンの腕が壁に押し付けられてる。……つまり俺は、オッサンに壁ドンされたのか?
「じゃったら教えてやる。訊いた後で尻込みなどさせんぞ」
オッサンの表情は真剣そのものだ。俺はその気迫に気圧されて、声も出さずに首を縦に振る。直感で分かった。俺はとんでもねーことに巻き込まれかけてるって。これ以上訊いたら、ものすごいトラブルに巻き込まれるだろうって。だけど俺から訊いた手前、引き下がる訳にはいかなかった。
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