4913人が本棚に入れています
本棚に追加
別れがあって、出会いがある。
薄暗い道をジャージの上にロングパーカーを羽織り、白いスニーカーで歩いていた。
時間は夜の10時近かったが、コンビニまで歩いて10分ない。
(なんて便利なんだろう。)
少し肌寒いがアイスを食べながら帰る道は、実家では絶対に味わえない贅沢感があった。
今日の昼間に引っ越して来たマンション。
7階建ての3階部分、角部屋だけど一階に付き三部屋、ふた部屋は角部屋になる。
就職して三年目になっての一人暮らし。
実家から電車で五駅、最寄駅は乗り換えのある大きな駅でマンションはそこから自転車で15分。
会社に少し近くなったし、乗り換えに苦しめられなくていい。
今年で21歳になるしいいタイミングでの一人暮らしだと思う。
去年は色々あったし、もう疲れる事は辞退して誰にも関わらずに、一人でのんびりと穏やかな……。
「パン!!」
(パン?何、いまのお…と。)
アイスから道の先に目を向けると、マンションの入り口前に若い男女。
「ふざけないで!馬鹿にしないでよ!遊びだったて事でしょ!覚えてなさいよ!!」
頬に手を当てているスーツ姿のイケメンらしい男性と、ワンピースの派手だが可愛らしい女性がその容姿には似合わないドスの効いた声で吐き捨てて、マンションへ入って行く。
そこで動けずに足を止めた、今日からこのマンションの住人である私。
「いってぇ…。何だよ?見るなよ!文句あんの?」
私に気付いた男性にじろっと睨まれて言われてしまう。
アイスが、ポタリと道路に垂れた。
最初のコメントを投稿しよう!