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「倫子!本当にごめん!もう二度としない!約束する。別れるとか言わないよな?俺、倫子の事本当に好きで…。」
「本当に好きで?黙ってたら分からないからいいかって思っていたんでしょ?本当に好きな人をそんな風に騙すの?騙されたまま付き合ってたんだよ?おかしいと、思ってないでしょ?」
「結婚…してるわけじゃないし、軽い遊びは男ならあるだろう?許してくれよ。これきりにするから…。」
目の前の人が大好きな人に見えなくなっていた。
「5年も付き合っていたんだから分かるよね?おかしいと思ってない人と、これから先も付き合えない。私にはそういう割り切った考え方は出来ないよ。体の相性が良いんでしょう?良かったね?これからは気にせずに楽しめるよ。さよなら!!」
思いっきり腕を力の限りに下に引っ張って、振り切る。
ドアを開けて思いっきり閉めた。
バン!!
という音と同時に奥の方で、灯里の笑い声が聞こえた。
親友と彼氏を失った日。
親友と彼氏に自分の知らない顔があったと知った日。
泣きそうな顔で、多分半分位泣きべそで、新幹線が停まる駅まで戻り、駅前のホテルに逃げ込んだ。
ちょっと高級なホテルだったけど、シングルが空いていたからカードを出して泊まることにした。
こんな気持ちで帰っても、新幹線の中で大泣きしそうだし、こんな顔を見て家族に聞かれても何を言ったらいいか分からないからだった。
とにかく早く一人になって思い切り泣いて、涙が出た分、忘れてしまいたかった。
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