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朝早く起きてスマホの電源を入れると、着信やラインが大悟から沢山来ていた。
それをボーッと見ていると、スマホが鳴りビクッと身体が動いた。
「……大悟。」
震える指で通話を押した。
『倫子!良かった、出てくれて。今何処?家にも帰ってないって…あ、灯里のアパートに泊まってる事にしてあるけど、倫子?駅近くのファミレス分かるだろ?送って行った時に入った、そこで会おう?話しをしよう?な?頼む!』
必死な声が聴こえても、哀れとも可哀想とも助けたいとも思わない。
心が氷漬けになっているみたいだ。
大悟の声が遠くて、違う世界からかかっている様に聴こえた。
『倫子?何か言ってくれ!あのファミレスで待ってるから!あ、迎えに行くよ?今何処?』
変わらない優しい声に逆にゾッとした。
「ね……。」
絞り出した声に大悟が嬉しそうな声を返す。
『うん!どうした?』
「なん、で?なんで、普通に話せるの?」
『倫子?だから、ちゃんと会って話せば分かるよ!ちょっした浮気で…。』
「ちょっとした?灯里の言い方じゃ…もう何回もそういう、関係だよね?それじゃあ、私が浮気で灯里が彼女みたいだよね?灯里とそういう事した部屋に良く私を招いたね?そういう神経、信じられない。私の顔見て、平気で笑顔を向けて、好きだって言って、騙されてる馬鹿な女って思ってたって事でしょ?」
『思ってないよ!』
その言葉は本当かもしれない、けど、もう止まらなかった。
終わると分かっていた、終わりでいいのかと頭の隅で自分が言うけど止まらなかった。
「結婚してないからいいとか、寂しいから仕方ないとか側にいたから相性がいいから、それ全部、ただの言い訳だから!!私ならバレない、気付かない、そうやって下に見て大悟は灯里と私とでいいとこ取りして、灯里は彼氏のいない間の埋め合わせに大悟を使った。そういう事でしょ?二人はそれで納得していいかもしれないけど私は嫌。もう大悟の顔を見たくない。灯里にも二度と会いたくない。誰も信じられない!さようなら。」
『りん…。』
ツーツーという音が聞こえると、直ぐに着信拒否にした。
灯里の番号も着信拒否にする。
「か、えったら…すぐ、携帯電話、新しくしよう。お金…痛いけど、もう……新幹線代いらない、し…節約、しなくてもいいから……楽…」
ボロボロと涙が溢れた。
初めての彼氏、キスをしたのも全部…初めてだった。
いいなぁから、ゆっくりと好きになり、凄く好きになった人だった。
高校で出来た楽しく優しい友達だった。
いつしか一番の親友になっていた。
いつだって隣にいた。
あんな風に思われているなんて考えた事もなかった。
全てが消えた。
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