裏切りと本性と。

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沢木(さわき)理也(みちや)28歳で、第一営業部の主任になったばかりで、仕事のスピードが半端ない速さで、補佐に付いた女子社員がついて行けず、順調な時ほど忙しさは増し、忙しくなる程彼の暴言は増える。 泣きながら部長に交代を願い出る始末で、第二営業部でチーフの宇佐美の下で入社当時から鍛えて頂いていた花上(かがみ)倫子(りんこ)は宇佐美の秘蔵っ子と呼ばれ、二年目に入る頃には資料室の主とまで言われていた。 資料室の資料ならば、場所を聞かれたら答えられるからだ。 部長がそこに目を付けて、宇佐美に第一営業部に花上を貸してくれと言ったのが最初だった。 宇佐美は納得半分、拒否半分で悩みながらも、 「第一営業部は扱っている商品が違うんだ。金額も大きいし勉強になると思う。」 と言ってくれた。 離れると言っても横に移動するだけだし、広いフロアを見渡せば宇佐美はいる。 補佐の仕事は同じだ。 見積り書の作成、提案書の作成、請求書領収書の作成、契約書の作成、営業が回る為に必要な説明書類の作成など、営業担当者に1人が付いて、朝から終業時間までパソコンと睨めっこして、経理に書類提出に行ったりして後は電話番だ。 そう考えて移動したが、沢木理也は鬼だった。 「出来たか?まだか?お前はスローロリスか?そう言えばその目が似てるな?」 頭に怒りマークを浮かばせながら何度仕事をしたか分からない。 半年経ってだいぶ慣れたが、何故かスローロリスか?は未だに言われる。
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