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じろり、と向けられた顔は、イケメンらしいではなく、イケメンだった。
なんか納得してしまう。
女性を振るのが似合うというか、切れ長のきつい目に長いまつ毛。
慣れてるんだろうなぁ…みたいな。
「おい!あんただよ!何見てんの?珍しいの?」
「はぁ、まぁ…珍しい…かな?」
「はぁ?」
また睨まれた。
「さっさと通過しろよ!」
チッと舌打ちされてむっとした。
「見たのはごめんなさい。でも道路で目の前にいたら目に入ります。それにそこ、退いてもらわないと、私、このマンションの住人です!」
スタスタ歩きながら言い、じろりと睨み返して目の前でクルリと向きを変えてマンションに入った。
「悪い!」
後ろから声がして振り向く。
罰が悪そうな顔を向けて、もう一度彼が謝まる声が聞こえた。
「悪い。邪魔してたな?帰って来たら通れなくて迷惑だったよな?なのに睨んで悪かった。」
さっきまでの人とは別人みたいで驚いた。
「あ、いえ。こちらこそ、すみませんでした。じゃあ…。」
「なぁ、あんたさ、名前、なんて言うの?」
「は?」
新手のナンパだと思った。
こんな田舎で…。
それが新藤倫也との出会いだった。
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