重なる

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マンションに帰ると窓を開けて掃除を開始した。 普段出来ない細かな所や、トイレやお風呂もキッチンも細かい所まで年末の大掃除ばりに掃除をした。 気が付くとかなり暗くなっていて、慌てて洗濯物を取り込み窓を閉めた。 「もう少しで7時じゃない。夏は陽が遅いから気付かなかったな。」 汗だくである事にもその時に気付き、エアコンを付けてからシャワーに行った。 洗濯物の中から服を着替えて、母がくれたタッパーを開けた。 キッチンに置いた椅子に座り、摘みながら缶チューハイを空ける。 (なんか…仕事がないと堕落した人間になりそう。) パクッと食べてゴクゴク飲む。 (いいか…誰も見てないし、心が尼なら…。) 考え方も堕落して来たか、と思いながら、缶チューハイを手に床にそのまま寝そべった。 (あぁ〜!掃除したから床、きもちいい〜!) 一週間の休みのうち、4日目が終わろうとしていた。 天井を見上げて残りは何にもしないと決める。 (あ、食材は買いに行こう。食欲ないけどゼリーとかアイスとか買いだめしてこよう。) 明日は買い出しと決めて、冷蔵庫に缶チューハイを取りに行く。 冷蔵庫は空で、ため息を吐きながらパタンと閉めた。 「あ〜あ。飲み過ぎ?………買いに行こっと!」 尼が聞いて呆れるだろうな、と思いつつ、上着を羽織り財布だけ持って部屋を出た。 どうせなら美味しいお酒が飲みたいと思い、バーに足を向けて歩くと、途中で休みである事を思い出す。 「あ!そうだ!三日間休み、あ〜あ…もう、バカ!」 引き返そうかと思ったが、近くに司が話していたお店があるのを思い出した。 マスターも自分の店が休みの時は行くよと聞いていた。 たまには違うお店もいいかも、と考えて足をそちらに向けた。 少し迷いながら辿り着き、恐々、扉を開けた。 「いらっしゃいませ、お一人ですか?宜しければどうぞ。」 女性のバーテンダーさんがカウンターの中で笑顔で迎えてくれて、自然にカウンター席に座っていた。
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