考えて

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スマホの電源を切ったまま、残りの休みを家から出ずに過ごした。 エアコンを付けたまま、節約など考えもせず、テレビも見もしないのに寂しくなるからずっと着けていた。 夏だから毛布だけを持って来て、テレビの前でクッションを置いてゴロゴロする。喉が渇けばずるずると冷蔵庫まで行き、たくさん買って入れておいた缶チューハイを飲んだ。 自堕落な生活…人生の数日位いいじゃないと思ったのだ。 いよいよ明日は仕事、という前日、風呂に入り缶チューハイ片手に竹輪を咥えてスマホを3日振りに手に取り電源を入れた。 突然の着信音に驚くと兄からで、慌てて出る。 『お、出た!お前な、繋がらない携帯って意味ないだろ?』 「あぁ、休みだから映画まとめて集中して見たくて…。」 『元気なんだな?母さん心配してたぞ?行くとかいうのを俺が止めてやってたんだからな?』 「ありがとう。お母さんにメールしとく。」 『あ、無理!母さんスマホ画面割れてるから…。』 (え?あのまま?いつの話?直そうよ。) と思いながら家に帰ったのに気付かなかった自分に情けなくも思った。 「寝る前に家に電話する。」 『そうして。伝えとく。またな。』 「うん、ありがとう。」 通話を切って見るとラインが大量に届いていた。 母と兄が大半で、菜緒さんと父がその半分、紛れて智徳。 少し笑いが溢れて、新藤の文字。 沢山の着信通知と、ラインも沢山入っていた。 ーーー 「倫子、今、実家?帰ったら何時でも連絡して。」 「倫子、おはよう。実家は一日だったよね?帰った?電話して。」 「今どこ?倫子、具合悪いのか?心配してます。電話下さい。」 「倫子、もしかして沙織の事気にしてる?何もないよ?お願いだから元気な声を聞かせてくれ。」 ーーー そんな内容がいくつもいくつも…入っていた。 「は…はははは……気にしてる?してるに決まってるじゃない!助手席に彼女の前で堂々と前の女、乗せんな!!そりゃあね?一応彼女ですけどね?でも見えないところでやってよ!沙織、って呼び捨てんな!倫也って呼ばせんな!いい様に使われて馬鹿じゃないの!そこの自販機で何か買って来て?コーヒー、無糖ね、馬鹿じゃないの!そんなんだから…だからプロポーズ前に振られるんでしょ?振られた女に、未練がましいのよ!最低!大嫌い!私が悪いって分かるけど、言ってる事無茶苦茶だって…だけど…連れて来ないでよぉ〜。」 文句を言いながら泣いていた。
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