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誤解と別れ
「沙織さんと倫也、長い付き合いで半同棲みたいになってた時期もあって、沙織さんの仕事が遠くになって離れて、離れて半年経ったから倫也も結婚を考えたんだけど…その時には沙織さんは別れを決意してたんだよね。電話だけで別れを言われた事、凄く傷付いてた。暫く立ち直れない位。光里さんと付き合わせても駄目で、倫子ちゃんに会ってからだよ?明るくなったの。」
「それがそもそも間違いだもの。」
クスッと笑い、倫子は司の顔を見た。
「今も、結局、追い掛けても来ないで沙織さんといるでしょ?それが答えだよ。」
「それはぁ、俺が行くから倫也も決着付けたらって言ったからだよ?」
「ううん…それでも沙織さんとは切れないと思うな。お仕事も倫也さんの会社に登録するんでしょ?紹介するとか言ってたし…。」
「仕事でしょ?昔の彼女が困ってたら助けない?」
「……どうだろ?助けるかな?」
「でしょ?」
「でも…みんなに優しい人は…私は嫌かも…。もう…無理。ごめん、司さん、無理。辛いし、どんどん汚い自分になる。もう嫌……。」
話しているうちにどんどん涙が出て来た。
気が付けばマンションが見えていて、逃げる様にお辞儀をして早歩きで歩き出した。
「倫子ちゃん!俺と結婚しない?」
「はぁ?」
思わず足を止めて振り向いていた。
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