4831人が本棚に入れています
本棚に追加
/329ページ
日曜日、今日も朝からだらけた生活を送っている。
郵便が届いて、手紙なんて珍しいと思いながら、ドアポストから引き出した。
差し出し名は、「伊川灯里」。
直ぐに開けながら、クッションを背に壁に持たれて座り、目を通した。
ーーー
倫子、変わりなくお元気ですか?
(うん、元気。)
大学は就活が厳しくなって来て、毎日が大変です。
売り手市場と言われているからもっと楽かと考えていましたが、行きたい会社と求められる会社は違います。何がしたいか、どこで妥協するか、ままならないと実感しています。
(うん。)
あの日、倫子に言われた事。
倫子が一生懸命考えて出してくれた答えを、私もまた倫子の気持ちになって考えました。母や姉の様にはなりたくないから。
倫子に酷い事をしました。
同じ事をされたら、彼氏とは別れて倫子を責めて、でも許すと思う。好きだから。だけどどうして話してくれなかったの、そうなる前にと、言ったと思う。
好きでもないのに興味だけで、流れでそうなった。
倫子が許せないのは当然だと思いました。
大悟とは、もう本当に何もない。
ただね?時々会って話はしています。
殆ど、高校時代の懐かしい思い出話だけど、笑い合ってまた頑張ろうと思えるから。それはいいよね?
(いいと思います。パワー充電だね。)
いつか、いつかどこかで会ったら、久し振り、元気?ってごめんねって言える様にそんな風になれる様に、倫子に会える様に頑張ろうと思います。
一人でちゃんと立って、前を向いて歩いて行こうと思います。
(うん、そうなるといいね。)
倫子、今でも倫子は一番の友達です。
そう思う事だけは許して下さい。
倫子の幸せを祈っています。 伊川灯里
ーーーーー
「いつか、笑顔で会えたらいいね。私も灯里の幸せを祈っています。」
呟いて倫子は手紙を封筒に戻して抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!